特定技能外国人は、一定の条件を満たせば転職が可能です。ただし、分野や在留期間、雇用契約の内容など、さまざまな基準に従う必要があります。企業が転職者を受け入れる場合や退職を受ける場合には、それぞれ定められた手続きと届出が求められます。
本記事では、特定技能外国人が転職するための条件や、企業側が実施すべき手続き、注意点について詳しく解説します。
特定技能外国人が転職するための条件
同一分野・区分であることが前提
特定技能外国人は、原則として現在の在留資格と同一の分野・区分内であれば転職が可能です。技能評価試験に合格して取得した在留資格は、同じ区分であれば再受験の必要はありません。ただし、異なる区分に転職する場合は、改めて技能評価試験に合格する必要があります。
在留期間の制限に注意
特定技能には「1号」と「2号」があり、1号は最長5年の在留期間に制限されます。この期間は累積されるため、過去の滞在歴も含めて5年以内であるかを確認しなければなりません。すでに在留歴がある場合は、転職後の在留可能期間を必ず確認することが重要です。
転職受け入れ時に企業が確認すべき事項
特定技能外国人の受け入れ基準
企業が特定技能外国人を受け入れるには、以下の基準を満たす必要があります。
- 分野省令で定められた対象業種であること
- 雇用契約が適切な内容であること
- 外国人を支援する体制と計画が整っていること(1号に限る)
対象業種には、介護、建設、農業、飲食料品製造業などがあります。受け入れ機関が過去に法令違反などを起こしていないことも審査の対象です。
適切な雇用契約の締結
雇用契約は、日本人と同等の待遇が前提です。報酬、労働時間、休暇制度などにおいて、外国人であることを理由とした不当な取り扱いは認められません。特に、派遣形態での雇用は一部の分野(農業・漁業)に限定されているため、雇用形態も事前に確認しておく必要があります。
転職に必要な手続きと届出
外国人本人が行う手続き
転職する特定技能外国人は、以下の手続きを行う必要があります。
- 所属機関変更に関する届出(退職・転職両方のタイミングで提出)
- 在留資格変更許可申請
これらの手続きは、出入国在留管理官署で行います。提出期限は、それぞれの事由が発生してから14日以内です。申請が許可されるまでは就労できないため、入社時期の調整も重要です。
転職先企業が行う手続き
受け入れ企業には以下の届出義務があります。
- 雇用契約に関する届出(出入国在留管理庁)
- 外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
これらは雇用開始日や契約締結日から14日以内、または翌月10日までが提出期限です。提出忘れは罰則対象となる可能性があるため注意が必要です。
退職企業が行う手続き
退職を受け入れる企業にも届出義務があります。
- 受入れ困難に関する届出
- 雇用契約に関する届出
- 外国人雇用状況の届出
退職日を基準にした届出期限が設けられており、いずれも厳守する必要があります。
転職時の注意点とリスク
許可が下りるまでの就労不可
在留資格変更申請が許可されるまで、特定技能外国人は新たな職場で働くことができません。パートやアルバイトなども認められていないため、収入が途絶える期間が発生する可能性があります。
不許可リスクへの備え
申請内容に不備があると在留資格の変更が認められず、外国人本人が帰国を余儀なくされることもあります。書類の確認や支援体制の整備を徹底することで、こうしたリスクを回避することが重要です。
非自発的な転職の場合の企業責任
企業都合による非自発的な転職の場合は、転職先の紹介や生活支援などの対応が求められます。支援を怠ると、受け入れ機関としての適格性が問われる可能性があります。
離職を防ぐための企業の取り組み
働きやすい職場づくり
外国人が長く安心して働けるよう、以下の点に留意した職場環境の整備が求められます。
- 公正な評価制度
- 安全で衛生的な労働環境
- 差別やハラスメントの防止
- 昇給制度の明確化
また、日本人従業員への研修を通じて、異文化理解を促進することも有効です。
生活面の支援と相談体制
外国人労働者が生活面で困らないよう、住居や契約サポート、日本語学習の機会提供などを行うことも重要です。相談窓口を設け、気軽に話せる環境づくりが離職防止につながります。
登録支援機関への委託も選択肢
特定技能1号に該当する外国人の受け入れに際しては、支援計画の作成と実施が義務付けられています。これを自社で行うことが難しい場合、登録支援機関への委託が可能です。登録支援機関に依頼することで、法令に則った支援体制の確保が図れます。
まとめ
特定技能外国人の転職は、一定の条件を満たせば可能ですが、企業側にも多くの手続きと対応が求められます。在留資格や分野の確認、雇用契約の整備、適正な支援体制の構築を通じて、スムーズな転職と雇用の継続を実現しましょう。離職を防ぐためには、働きやすく安心できる環境を整え、必要に応じて外部機関の活用も検討することが有効です。
転職に関する制度の最新動向を踏まえ、外国人雇用の実務にしっかり対応していくことが、企業にとっても安定した人材確保の鍵となります。
