特定技能「建設」の職種と雇用要件を徹底解説

建設業界における特定技能制度は、人手不足を補うために外国人材を受け入れる仕組みとして2019年に導入されました。本記事では、特定技能「建設」の職種区分、取得方法、企業が外国人を雇用する際の条件や必要な手続き、関連する費用について体系的に解説します。

特定技能「建設」とは何か

特定技能制度は、労働力不足が深刻な業種に対し、一定の技能を持つ外国人材を労働力として受け入れるための在留資格制度です。

建設業界はその12分野のひとつで、特定技能「建設」として制度化されています。建設分野におけるこの資格は、即戦力となる作業者の確保を目的としており、業界全体での安定的な人材供給につながっています。

建設業界で外国人材が必要とされる背景

建設業における人手不足は、主に以下の要因によって加速しています。

  • 就業者の高齢化と若年層の入職減少
  • 少子化による労働人口全体の減少
  • 長時間労働や体力負担の大きさからくる職業敬遠

従来の技能実習制度は、技能習得を目的としており、労働力としての活用には限界がありました。そのため、即戦力としての外国人労働者を受け入れる新制度として、特定技能「建設」が導入されました。

特定技能「建設」の職種と作業内容

特定技能「建設」には、以下の3つの業務区分があります。

【業務区分①】土木工事関連作業

  • 舗装工事、しゅんせつ工事、造園工事、鉄筋工事、塗装工事など
  • 道路、橋梁、上下水道などインフラ整備の作業に従事

【業務区分②】建築工事関連作業

  • 大工工事、左官、内装仕上、解体工事、ガラス・屋根工事など
  • 住宅やビルの建築、改修、修繕、移転作業などに従事

【業務区分③】ライフライン・設備工事関連作業

  • 電気・ガス・水道関連の整備や修繕
  • 電気工事、配管、消防施設工事などの設備作業が対象

特定技能1号は、指導者のもとで実務に従事します。特定技能2号では、現場の工程管理や作業指導など、より熟練度が求められます。

特定技能1号・2号の取得方法

技能実習経験者

技能実習2号または3号を修了した者は、試験免除で特定技能1号を取得可能です。在留期限6ヶ月前から「建設特定技能受入計画」の申請ができます。

未経験者

以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能試験:「技能検定3級」または「建設分野特定技能1号評価試験」
  • 日本語試験:「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験N4以上」

特定技能2号

  • 職長・班長としての一定の実務経験(半年~3年)
  • 技能検定1級または「建設分野特定技能2号評価試験」の合格

日本語試験は不要ですが、業務内容や責任範囲が高度になります。

特定技能1号と2号の主な違い

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間最長5年(更新あり)更新制限なし
技能レベル基礎技能熟練技能
日本語能力試験の要否必要不要
家族帯同原則不可一定条件で可能
支援の必要性受け入れ機関または登録支援機関による支援が必要不要

雇用する企業側の要件

特定技能外国人を雇用する企業(受け入れ機関)は、以下の条件を満たす必要があります。

建設業法第3条許可の取得

地方整備局または都道府県からの許可が必要で、5年ごとの更新があります。

人数制限の順守

外国人雇用者数が、常勤職員数(外国人を除く)を超えないように制限されます。

建設技能人材機構(JAC)への加入

JACは建設業界の外国人受け入れを監督する機関で、加入と年会費または受入負担金が必要です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録

事業者および外国人技能者の両方が登録対象です。技能者の職歴・資格管理に役立ち、企業側の管理効率も向上します。

特定技能雇用契約の締結

国土交通省の定める契約書様式により、報酬や業務内容を外国人本人に説明する必要があります。説明は本人が理解できる言語で行います。

建設特定技能受入計画の認定

労働条件、技能水準、CCUS登録の有無などを記載した計画を国土交通省へ提出し、認定を受ける必要があります。

在留資格認定証明書の申請

地方出入国在留管理局へ申請し、審査を通過すれば外国人は日本の大使館でビザ発給を受け、来日可能となります。

四半期ごとの報告義務

受け入れ状況、活動状況、支援の実施状況を四半期ごとに報告する必要があります。

外国人雇用にかかる費用

JACへの費用

区分年会費または月額受入負担金
賛助会員(企業単体加入)年額24万円、受入負担金月額12,500~20,000円
正会員団体の会員(団体経由)団体会費+受入負担金

建設キャリアアップシステム関連費用

  • 技能者登録料:2,500円〜4,900円(登録型により異なる)
  • 事業者登録料:資本金規模により9,000円〜48,000円
  • 管理者ID利用料:11,400円/年(1人親方は2,400円)

まとめ

建設分野の特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するための実践的な施策です。外国人材の雇用には多くの手続きと費用が伴いますが、制度を正しく理解し、計画的に対応すれば、業務の安定化や技術力の向上にもつながります。

採用や受け入れ準備にあたっては、関連する法制度や支援制度を十分に把握したうえで、適切な運用を行うことが求められます。