特定技能「建設」の採用条件と雇用手続きの完全ガイド

日本の建設業界では深刻な人手不足と高齢化が進んでおり、政府はその対策として在留資格「特定技能」を創設しました。本記事では、特定技能「建設」における採用方法、外国人材が従事可能な業務内容、必要な在留資格取得の要件、評価試験の概要、そして受け入れ企業に課される条件などを体系的に解説します。求人活動や雇用計画を検討する企業に向けて、制度理解を深めるための情報を提供します。

特定技能「建設」の概要と制度の背景

少子高齢化による労働力不足と制度創設の背景

建設業界では長年にわたり若年層の就業者減少と高齢化が進んでいます。過酷な労働環境や旧態依然とした働き方が敬遠され、慢性的な人手不足に拍車をかけています。こうした状況に対応するため、政府は2019年に「特定技能」という在留資格を創設しました。

「特定技能」は特定の分野で一定水準の技能を持つ外国人が就労可能となる制度であり、建設分野は対象12業種のひとつです。2022年には業務区分が再編され、建設分野における外国人の活動範囲が拡大されました。

外国人材が従事可能な建設業務の範囲

業務区分は3つに再編

建設分野において外国人材が従事できる業務は、以下の3つの区分に再編されています。

  • 土木区分:型枠施工、コンクリート圧送、建設機械施工、土工、鉄筋施工など
  • 建築区分:左官、屋根ふき、建築大工、内装仕上げ、建築板金など
  • ライフライン・設備区分:電気通信、配管、保温保冷、建築板金など

これらの業務に就くには、対応する技能試験に合格しているか、技能実習2号を良好に修了していることが必要です。

特定技能1号の取得条件と申請方法

二つの取得ルート

外国人が特定技能1号「建設」を取得するには、次のいずれかの方法があります。

① 技能評価試験および日本語試験に合格

  • 技能試験:「土木」「建築」「ライフライン・設備」のいずれか
  • 日本語試験:日本語能力試験(N4以上)またはJFT-basic(200点以上)

② 技能実習2号からの移行

  • 技能実習2号を良好に修了し、かつ同一職種に従事する場合は、技能試験および日本語試験が免除される

特定技能2号の取得条件と申請方法

より高い技能水準が求められる2号資格

特定技能2号は、熟練した技能と実務経験を有する者が対象です。取得条件は以下の通りです。

  • 技能試験合格:建設分野特定技能2号評価試験(技能検定1級相当)
  • 実務経験:建設現場で班長としての経験を有し、建設キャリアアップシステムへの登録と就業履歴の蓄積が必要

なお、2号取得者には日本語試験の要件は課されていません。

特定技能評価試験の概要

1号と2号で異なる試験水準

特定技能1号評価試験

  • 学科:30問/60分/65%以上合格
  • 実技:20問/40分/65%以上合格

特定技能2号評価試験

  • 学科:40問/60分/75%以上合格
  • 実技:25問/40分/75%以上合格

試験はCBT方式(コンピューターによる試験)で実施され、各業務区分に対応した内容となっています。

外国人材を雇用するための企業要件

特定技能所属機関(受入機関)の登録要件

建設分野で特定技能外国人を採用するためには、受入機関が以下の条件を満たす必要があります。

  • 国土交通省による「建設特定技能受入計画」の認定を受ける
  • 同等業務に従事する日本人と同等以上の報酬支給(月給制)
  • 建設キャリアアップシステムへの登録
  • 受入れ人数が常勤職員数を超えない

また、建設業の許可取得および建設技能人材機構(JAC)への加入も必須です。

特定技能協議会への加入と費用負担

協議会加入は在留資格申請の前に必須

建設業で特定技能外国人を受け入れるには、建設分野の特定技能協議会に加入しなければなりません。加入方法と費用は以下の通りです。

  • 正会員団体に所属:年会費は団体が定める(例:36万円)
  • 賛助会員(団体未所属):年会費24万円
  • 受入れ負担金:1人あたり月額12,500円

雇用後に求められる外国人支援の内容

受入企業による支援は義務

特定技能1号外国人を雇用する企業は、以下の支援を行う義務があります。

  • 入国前後のガイダンス
  • 出入国時の送迎支援
  • 住宅確保支援
  • 公的手続きの同行
  • 日本語学習支援
  • 生活オリエンテーション
  • 相談対応
  • 転職支援(雇用側都合での契約終了時)

これらの支援業務は、「登録支援機関」に委託することも可能です。

特定技能1号と2号の違いまとめ

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間最大5年(更新あり)無期限(更新制限なし)
技能水準基礎~中級熟練
家族帯同不可可能(条件付き)
永住権取得不可可能
支援計画必須不要
日本語試験必要不要

まとめ

建設分野における特定技能制度は、人材不足を解消する重要な手段となっています。ただし、建設業界特有の受入要件や手続きが多く、採用にあたっては制度の理解と正確な対応が不可欠です。外国人材の安定した雇用と職場定着のためにも、受入企業は準備をしっかりと行う必要があります。

特定技能制度を活用して、建設業における持続可能な人材確保を目指しましょう。