特定技能「外食業」とは?飲食店で外国人を雇用するための制度と実務

日本の外食産業では深刻な人手不足が続いており、特定技能「外食業」制度の活用が現場の課題解決の一助として注目されています。本記事では、特定技能制度の概要や業務内容、取得要件、企業側の受け入れ条件、外国人雇用の具体的な流れなどを詳しく解説します。

飲食店での求人活動において、外国人材の採用を検討している方は、制度を正しく理解し、適切な雇用につなげることが重要です。

外食業界で導入される特定技能とはどのような制度か

外食業の即戦力を確保するための在留資格

特定技能「外食業」は、日本国内で特に人材不足が深刻な分野である飲食業界において、外国人材を受け入れるための在留資格です。調理や接客、店舗運営補助など、飲食店に関する幅広い業務に従事することができます。即戦力としての活躍が期待されており、日本人とほぼ同等の労働が可能です。

外国人材の求人が進む背景にある外食産業の課題

有効求人倍率から見る人手不足の実態

外食産業における有効求人倍率は、他業種に比べて極めて高く、直近では3倍以上の水準に達しています。全産業の平均が1倍台であることからも、飲食業界における人材不足の深刻さがうかがえます。

留学生アルバイトから特定技能への移行の必要性

飲食店で働く外国人の多くは、資格外活動としてアルバイトを行っている留学生です。しかし、この場合は就労時間や業務内容に制限があり、安定的な雇用には結びつきません。特定技能制度を活用することで、より柔軟で持続可能な外国人雇用が可能になります。

特定技能「外食業」で従事できる業務の内容と特徴

調理から店舗管理まで幅広く対応可能

特定技能「外食業」では、以下のような業務に従事することが認められています。

  • 飲食物の調理(厨房業務)
  • 接客、配膳、片付けなどのホール業務
  • 原材料の仕入れや衛生管理を含む店舗管理の補助
  • デリバリー業務(接客や調理と組み合わせた場合のみ)

対象となる業態の具体例

以下のような飲食店で、特定技能外国人の受け入れが可能です。

  • レストラン、喫茶店、食堂
  • ファーストフード店、持ち帰り専門店
  • 宅配サービスを行う飲食店(店内調理に限る)
  • ホテル内のレストラン(フロント業務などは除外)

特定技能1号取得に必要な試験と条件を理解する

技能試験と日本語能力の両方が必須

特定技能「外食業」1号を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 外食業特定技能1号技能測定試験の合格
  • 日本語能力試験(N4以上)または日本語基礎テスト(200点以上)への合格

これらの試験は、日本国内および一部海外地域で年3回程度実施されており、合格率は約64%前後です。

技能実習2号からの移行も可能

技能実習制度の対象職種を良好に修了した外国人は、特定技能1号への移行が認められています。ただし、外食業に移行可能な実習職種は限定されており、給食製造などが対象です。

外食業で特定技能外国人を雇用する企業の要件

適正な雇用契約の締結が大前提

特定技能外国人を雇用する企業は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 過去5年以内に出入国・労働関連法令違反がないこと
  • 外国人に対して支援体制を整備していること(登録支援機関に委託可能)
  • 生活支援・就労支援を含む「支援計画」の策定と実施

協議会への加入が申請前に義務化

2024年6月15日以降、特定技能の在留資格申請前に、各分野ごとの協議会への加入が必要となりました。制度の適正運用を目的としており、情報共有や法令遵守が求められます。

雇用までの手続きと流れを把握する

海外から外国人を呼び寄せる場合のフロー

  1. 採用面接・契約締結
  2. 支援計画の策定・交付
  3. 事前ガイダンスと健康診断の実施
  4. 在留資格認定証明書の申請・取得
  5. 外国人がビザ申請・受領
  6. 来日し、飲食店での就労スタート

支援業務はすべて企業で行う必要はなく、登録支援機関に委託することで法的要件を満たすことも可能です。

特定技能2号の制度拡大とその活用方法

長期就労を希望する外国人に適した在留資格

特定技能2号は、2023年に外食業を含む複数の分野に拡大されました。この資格を取得すると、在留期間の更新制限がなくなり、家族帯同も可能となります。

取得に必要な実務経験と試験

以下の要件を満たす必要があります。

  • 店舗運営補助のポジションで2年以上の実務経験
  • 外食業特定技能2号技能測定試験の合格
  • 日本語能力試験N3以上の認定

すでに試験が始まっており、今後は長期雇用を目的とした2号人材のニーズが一層高まると見込まれています。

違法な雇用を避けるための注意点

雇用形態や業務内容の違反に要注意

特定技能「外食業」の外国人は、必ず直接雇用でなければなりません。派遣や業務委託による雇用は禁止されています。また、風営法に該当する店舗では、接客や調理を含めた一切の業務が認められていません。

賃金格差は違法となる可能性がある

「外国人だから」という理由で、日本人と異なる賃金を設定することはできません。同一労働同一賃金の原則に基づき、待遇差があれば在留資格の許可が下りない場合もあります。

まとめ

日本の外食産業は慢性的な人手不足の状況にあり、外国人材の需要が非常に高いことが特徴です。特に新型コロナウイルスによる営業自粛等から働き手を減らしていた外食業では、需要が回復したことで更に人手不足が深刻になってしまいました。

かつて外食業界で働いていた人材が他業界へ流出してしまったことで、日本人の採用は難易度が高くなっており、特定技能「外食業」は、今後も重宝される資格と言えるでしょう。
飲食店のスタッフとして外国人を雇用し、調理やホール業務、デリバリーなどの幅広い業務を任せたいのであれば、特定技能「外食業」を検討してみてはいかがでしょうか。

また、特定技能「外食業」の外国人を飲食店で雇用したい場合、違法にならないために、雇用形態や業務内容・給与の水準に注意しましょう。