特定技能外国人を受け入れる企業には、さまざまな支援義務が課されています。その支援を代行できるのが「登録支援機関」です。本記事では、登録支援機関の役割、登録要件、義務的支援の内容、企業が支援業務を自社対応すべきか委託すべきかの判断基準、委託するメリット、そして登録支援機関を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。
登録支援機関の役割とは
登録支援機関は企業の支援業務を代行する存在
特定技能制度において、外国人労働者を受け入れる企業(受入れ機関)は、労働者が日本で円滑に業務や日常生活を送れるように「支援計画」を策定・実行する義務があります。この支援業務の一部または全部を委託できるのが「登録支援機関」です。
登録支援機関は、出入国在留管理庁に登録された法人・団体・個人であり、専門的な支援体制を有することで、企業に代わって適切な支援を行うことが可能です。
登録支援機関の登録要件
登録支援機関になるためには、以下のような基準を満たす必要があります。
- 支援責任者および支援担当者の選任
- 過去2年以内に外国人支援の実績があること
- 外国人に対し十分に理解できる言語で情報提供できる体制があること
- 特定技能外国人や技能実習生の失踪を過去1年以内に発生させていないこと
- 外国人に支援費用を負担させないこと
- 出入国または労働関連の法令違反がないこと
特定技能外国人への支援内容
登録支援機関が行う支援は、大きく「義務的支援」と「任意的支援」に分かれます。
義務的支援の内容
- 事前ガイダンスの実施:業務内容や在留資格について1~3時間程度の対面またはテレビ通話で実施
- 入出国時の送迎:空港や港への同行
- 住居の確保・生活契約の支援:賃貸物件の情報提供、連帯保証人の確保など
- 生活オリエンテーション:交通・医療・金融などの生活情報を8時間以上提供
- 公的手続きへの同行:住民登録や保険手続きの補助
- 日本語学習の支援:教材や教室の紹介、手続きの補助
- 相談・苦情対応:適切な対応と行政機関への案内
- 日本人との交流促進:地域行事への参加支援など
- 転職支援:企業都合で契約解除された場合の就職支援
- 定期的面談・通報:3ヶ月ごとの面談と必要時の通報
任意的支援の例
- 気候や文化に関する事前情報の提供
- 日本語試験への受験支援
- 交流のための勤務調整や有休付与
登録支援機関の委託は必須か?
企業が支援業務を自社で行うか、登録支援機関に委託するかは、以下の条件により異なります。
委託が必須なケース
- 過去2年間に外国人労働者の受け入れ実績がない場合
- 支援責任者・担当者に必要な経験がない場合
このような企業は、登録支援機関への委託が義務となります。自社対応が認められないため、制度上、委託せざるを得ません。
自社対応が可能なケース
- 外国人受け入れ実績があり、支援体制が整っている企業
この場合、支援を内製化するか、委託するか選択が可能です。一部だけを委託し、自社で対応できる部分は内製化することもできます。
支援業務を委託するメリット
登録支援機関に支援を委託することで、以下のようなメリットがあります。
本来業務に専念できる
企業は外国人労働者への業務教育に集中でき、支援業務という専門性の高い分野を外部に任せることで効率的な雇用運用が可能となります。
人員・時間コストの削減
ガイダンスや生活支援など、労力と時間を要する業務を外部に委託することで、日本人社員の負担が軽減されます。
外部第三者による中立支援
職場の関係者ではなく第三者が支援することで、外国人が悩みを相談しやすくなり、トラブルの早期発見にもつながります。
登録支援機関の選び方
支援内容が明確にメニュー化されているか
サービスの範囲が曖昧な機関ではなく、明確な支援内容と実施方法を示している登録支援機関を選ぶことが重要です。
母国語対応が可能か
外国人が理解しやすい言語での支援は必須条件です。母国語対応の体制があるかを確認しましょう。
コストの透明性と適正性
費用については、明細や内訳が明示されているか、支援内容と見合った価格かを比較検討し、複数機関から見積を取るのが望ましいです。
支援の内製化は現実的か?
自社内で支援体制を構築するには、以下の課題があります。
- 計画作成や手続きに必要な時間・人材確保
- 多言語対応のための通訳配置や研修
- 法令遵守のための知識と実務経験の蓄積
これらをクリアできる企業は少なく、特に外国人労働者の受け入れが初めての企業では、現実的に委託が最善の選択肢となる場合が多いです。
まとめ
特定技能制度における外国人支援は、単なる雇用の延長ではなく、生活支援や日本社会への適応までを含む総合的な支援が求められます。企業が自社で対応するには高いハードルがあるため、多くの場合、登録支援機関の活用が現実的かつ有効な手段です。
今後、特定技能外国人の採用を検討している企業は、信頼できる登録支援機関を見つけ、パートナーとして協力体制を築くことが重要です。支援体制の質が、外国人材の定着や職場の安定に直結します。
登録支援機関の選定にあたっては、支援内容の網羅性、言語対応、コストの適正性といったポイントをしっかり見極めましょう。
