2023年度の外国人労働者数が200万人を超え、過去最高を記録しました。中でも「特定技能」在留資格の急増が顕著で、外国人雇用の新たな主軸となりつつあります。制度変更が議論される中、「技能実習」からの移行も進み、国籍別・業種別・地域別の構造にも変化が見られます。雇用主は今後の人材確保において、より柔軟で戦略的な採用方針が求められる状況です。
外国人労働者数が過去最多を記録
雇用状況の最新統計
厚生労働省による2023年度の「外国人雇用状況」の届出データによると、外国人労働者数は200万人を突破し、前年比12.4%増の大幅な伸びを示しました。これは、コロナ禍による停滞を経て、外国人雇用がV字回復を遂げたことを意味します。特に「特定技能」や「技能実習」といった在留資格に関する構造的変化が、今回の増加を後押ししています。
在留資格別に見る雇用の変化
技能実習と特定技能の勢い
在留資格別のデータでは、「技能実習」が前年比20.1%増で約41万人、「特定技能」が前年比75.2%増で約19万人となりました。技能実習制度に対する制度見直しの議論が進む中、制度終了前の駆け込み需要と見られる側面もあります。一方、特定技能は制度運用が本格化し、主力の人材供給ルートとなりつつあります。
ただし、統計上では実態を完全には反映していない部分もあります。たとえば、技能実習から特定技能へ同一事業所内で移行した場合、届出義務がないため、届出人数と実際の在留者数に大きな乖離があります。
国籍別に見た雇用動向
インドネシア、ミャンマー、ネパールの台頭
国籍別のデータからは、インドネシア(前年比56%増)、ミャンマー(49.9%増)、ネパール(23.2%増)の伸びが目立ちます。これらの国は、特定技能の試験合格者が多く、積極的な送り出し国としての役割を果たしています。
一方で、かつて主力だったベトナムや中国は伸び悩みの傾向が見られます。円安や他国の賃金上昇などもあり、外国人材の就業希望国としての日本の競争力が再評価されるタイミングに来ています。
業種別に見る外国人労働者の雇用傾向
介護、製造、建設分野での構造変化
業種別の分析では、建設分野では依然としてベトナムが主流ですが、インドネシアが急成長し2位に浮上しました。製造業ではフィリピンが中国を抜いて2位となり、医療・福祉分野でもインドネシアが順位を上げています。
平均賃金が低めの業種では、従来の主要国籍である中国やフィリピンからの人材確保が難しくなっており、ミャンマーやネパールの人材が新たに需要を満たしています。特に飲食業では宗教上の制約が少ないミャンマー国籍が増加傾向にあり、実務適性が評価されている状況です。
地域別の外国人労働者の分布と特徴
地方で顕著な特定技能人材の増加
2023年度は、すべての都道府県で外国人労働者数が増加し、とくに九州や東北地方での増加率が目立ちました。特定技能の導入により、地方企業でも外国人材の受け入れが進み、都市部への一極集中が緩和されつつあります。
特定技能人材は、採用までの期間が比較的短く、即戦力として活用できる点が地方企業にとって魅力です。実際、東京・大阪・愛知の3大都市が占める特定技能人材の割合は全国の27.3%にとどまり、それ以外の地域での採用が活発化しています。
今後の展望:外国人雇用の新たなステージへ
特定技能の制度改革と拡大
今後は、特定技能制度の分野拡大や2号資格の本格運用により、「どのような人材を採用するか」「どの職種で活用するか」といった戦略的な雇用判断が必要になります。
「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」でも指摘されたように、外国人労働者のキャリア形成を支援する枠組みづくりが重要です。企業側も、単なる労働力としてではなく、育成と定着を見据えた長期的な人材戦略が求められています。
まとめ
外国人労働者の雇用は「特定技能」制度の成長により、大きな転換期を迎えています。国籍・業種・地域の多様化が進み、企業にとっても採用戦略の柔軟さが一層問われる状況です。外国人材の安定した雇用確保のためには、法制度の理解に加え、実務的なマッチング精度の向上が鍵となるでしょう。
今後、特定技能を中心とした制度活用が広がる中で、雇用の質と量の両立を図る取り組みが期待されています。
