外国人の受け入れにおいて重要な役割を果たす「送り出し機関」は、技能実習制度や特定技能制度において外国人材の紹介や教育、入国支援などを担う機関です。近年は悪質な送り出し機関による問題も報道されており、企業が雇用の際に注意を払う必要性が高まっています。
本記事では、送り出し機関の基本的な役割、法的な認定要件、特定技能制度における活用方法、費用の相場、選定のポイントまでを網羅的に解説します。
送り出し機関の基本的な役割と位置づけ
海外人材の受け入れに欠かせない機関
送り出し機関とは、外国人材を日本へ送り出すために現地で求人募集や選考、教育、出国手続きを行う団体のことです。技能実習制度では団体監理型のスキームで必須の存在であり、特定技能制度においても一部の国では政府認定送り出し機関の利用が義務付けられています。
技能実習・特定技能制度の両方に関係
技能実習では送り出し機関が候補者の選定、事前教育、必要書類の準備、帰国後の支援などを担当します。特定技能制度では必須とは限らないものの、国によっては制度上の取り決めがあるため、確認が必要です。
認定送り出し機関の要件と制度的背景
技能実習制度での認定基準
送り出し機関が技能実習制度において認定されるには、以下のような基準を満たす必要があります(規則第25条より抜粋)
- 所在国政府からの推薦を受けている
- 候補者選定の基準が明確かつ制度趣旨に合致している
- 手数料の算出基準を公表・説明し、十分に理解させている
- 帰国後の就職支援などを実施している
- 技能実習生の人権を侵害する行為がない
- 法令違反歴のある者が運営に関与していない
これらの基準を満たした機関が、認定送り出し機関として登録されます。
特定技能制度と送り出し機関の関係
国ごとの運用ルールに注意
特定技能制度では送り出し機関の利用が義務とは限らないものの、以下のように送り出し機関を必須とする国があります。
- ベトナム:政府認定機関の経由が必須
- フィリピン:MWO(旧POEA)認定エージェントの利用が必須
- ミャンマー:認定機関を通じて雇用契約を結ぶ必要あり
国ごとの制度が異なるため、採用前に制度内容を必ず確認しましょう。
送り出し機関の問題とリスク
違法契約や過剰な費用負担の事例も
一部の送り出し機関では、実習生に高額な費用を負担させたり、不適切な契約を結ばせたりするケースが報告されています。こうした負担が原因で借金を抱え、劣悪な雇用環境から逃れるために失踪する実習生も少なくありません。
二国間協定での制度改善
日本政府は送り出し国と「技能実習に関する協力覚書」や「特定技能に関する協力覚書」を締結し、悪質な機関の排除と適正な運用を推進しています。
送り出し機関の手数料と費用相場
実習生が負担する費用は平均54万円
出入国在留管理庁の調査によると、技能実習生が日本に来るまでに支払う費用の平均は約54万円。仲介者が複数存在する場合、さらに高額になることもあります。これらの費用がすべて借金である場合、返済の負担が精神的・経済的ストレスとなり、職場への定着やパフォーマンスにも影響します。
企業が送り出し機関を選定する際のチェックポイント
実績や教育体制を重視
以下の点に着目して、送り出し機関の選定を行いましょう。
- 現地政府の認定を受けているか
- 日本語教育や職種別トレーニングの有無
- 手数料の透明性と適正性
- 日本国内に駐在事務所があるか
- 担当者の日本語レベルと対応力
- 継続的な人材供給の可否
特定技能の場合は、直接送り出し機関とやり取りすることもありますが、実績ある人材紹介会社を通じたほうがスムーズに進むケースも多いです。
雇用後のトラブルを防ぐために
監理団体との連携も重要
技能実習制度では監理団体が送り出し機関を選定するケースが一般的です。したがって、監理団体自体の信頼性や対応力も重要です。送り出し機関とあわせて監理団体についても慎重に選定する必要があります。
まとめ
外国人材の雇用を成功させるためには、送り出し機関の信頼性と透明性が非常に重要です。悪質な機関を避け、制度に沿った正しい運用を行うことで、企業にとっても外国人にとっても良好な雇用関係を築くことができます。
送り出し機関の選定には手間がかかりますが、それを怠ると大きなトラブルに発展するリスクがあるため、丁寧に情報収集と確認を行いましょう。
