在留資格「定住者」は、雇用側にとって柔軟性が高く、求人募集の選択肢を広げることができる身分系の資格です。特定技能との違いや、永住者との区別、在留期間や更新時の注意点、就労可能な職種の範囲、告示定住者と告示外定住者の分類について詳しく解説します。外国人採用に関わる企業や人事担当者が知っておくべき基本知識をまとめました。
「定住者」は幅広い業種に対応できる在留資格
在留資格「定住者」は、日本との身分的なつながりや個別の事情を背景に、日本での長期滞在が認められる在留資格です。企業が外国人を雇用する際、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労系資格と並び、安定的に働ける人材として注目されています。
定住者は就労制限がほぼなく雇用の自由度が高い
「定住者」は、外国人本人の職歴や学歴、保有資格などに関係なく、業種や職種、勤務形態にも制限がほとんどありません。これは他の多くの在留資格と大きく異なる点です。求人活動においても、特定のスキルや職種に縛られず、幅広いポジションでの採用が可能となります。
特定技能との違いとは?雇用形態・在留期間に注目
特定技能は、深刻な人手不足の業種において外国人労働者を受け入れるために導入された比較的新しい制度です。一方、「定住者」は日本との人的関係や生活実績を重視して許可されるため、制度の趣旨が根本的に異なります。
特定技能は業種と職務が限定される
特定技能1号で働けるのは、介護・外食・建設・宿泊・農業など14業種に限られており、業務内容や職務内容も細かく規定されています。加えて、派遣労働や副業は禁止されているため、雇用主側の管理責任も重くなります。
定住者は派遣や副業も可能で雇用管理が容易
定住者にはこうした業務制限がなく、派遣社員やパートタイム、アルバイトとしての雇用も可能です。特定技能よりも柔軟な人材活用ができる点が、企業の求人活動において大きな強みになります。
永住者と定住者の法的な違いを理解する
「定住者」と「永住者」はどちらも安定した在留資格ですが、その法的性質には明確な違いがあります。特に在留期限の有無や、将来的な帰化の可能性に関わるため、雇用にあたっても違いを把握しておく必要があります。
永住者は在留期限がなく更新不要
永住者は原則的に日本に無期限で住むことが可能で、在留資格の更新も不要です(在留カードの更新は必要)。一度取得すれば、たとえ職を失っても在留資格が取り消されることは基本的にありません。
定住者には在留期限があり、更新時に審査がある
定住者は6カ月、1年、3年、5年の在留期間が設定されており、期限が来るたびに更新申請を行う必要があります。更新時には、収入状況や素行、在留の必要性などが審査され、条件を満たさなければ更新が認められないこともあります。
告示定住者と告示外定住者の具体的な違い
「定住者」の在留資格は、背景事情によって大きく2つに分類されます。求人においてどちらの定住者を対象とするかによって、雇用の安定性や将来性も変わるため、基本的な区別を理解しておくことが重要です。
告示定住者は制度上明確に認められた類型
告示定住者とは、あらかじめ法務省の告示で定められたパターンに該当する人々を指します。たとえば、日系人(2世・3世)や日本人の未成年養子、残留邦人とその家族などが含まれます。
告示外定住者は人道的な理由で例外的に許可
これに対し、告示外定住者は告示に記載されていないものの、人道上または特別な事情がある場合に個別に認められる在留資格です。例としては、離婚や死別した配偶者、日本人の子を育てる親、難民認定を受けた者などが挙げられます。
定住者の在留期間と更新手続に関する実務
更新時に確認される主な要件
定住者の更新申請では、以下のような点が審査されます。
- 日本に引き続き在留する正当な理由があるか
- 安定した収入や十分な貯蓄があるか
- 税金や社会保険料の支払い状況
- 法律違反や素行の問題がないか
身元保証人の依頼が必要な場合もある
更新申請の場面では、「身元保証書」の提出が求められるケースがあり、雇用先の企業担当者が依頼を受けることもあります。これは金銭的な保証ではなく、当人の社会的信頼性を証明するものであり、適切な理解が必要です。
定住者が在留資格を失うケースと雇用リスク
身分の変化によって資格を失う可能性がある
定住者は、基本的に身分や人的事情を基に許可されているため、離婚・死別・養子縁組の解消などにより、在留資格の根拠がなくなると、更新が認められない場合があります。
生活能力や素行不良も更新不許可の原因に
雇用契約の終了後に職を失い、十分な収入や財産がなければ、更新時に「独立生計要件」を満たせず不許可となる可能性があります。また、交通違反や刑事事件などで処分を受けると、「素行要件」に違反し、資格を失うリスクがあります。
外国人雇用における定住者のメリットと注意点
求人活動を行う企業にとって、「定住者」の採用は自由度が高く、特定技能や技能実習と比べて雇用管理の負担が少ない点が大きな魅力です。ただし、資格の前提が生活基盤であるため、在留資格の維持には注意が必要です。
求人活動において定住者が適している業種とは
- 飲食業や介護など、多様な勤務形態が必要な業種
- 建設や製造など、派遣社員の活用が多い現場
- 長期雇用を前提とした正社員求人にも対応可能
このように、定住者は多様な業種で即戦力として活用しやすい人材であり、企業の人手不足解消にも大きく貢献します。
まとめ
「定住者」の在留資格をもつ外国人は、特定技能などと比較して職業や勤務形態に制限がなく、求人活動における柔軟性が非常に高い点が特徴です。企業にとっては、雇用の選択肢を広げ、幅広い業種・職種で活用できる貴重な人材となり得ます。
一方で、身分や収入、素行などの状況が変われば在留資格を維持できなくなる場合があるため、更新手続きや在留状況の確認は継続的に行う必要があります。外国人の安定した雇用を実現するためにも、「定住者」という在留資格の特徴とリスクを正しく理解しておくことが重要です。
