外国人材を「特定技能」などで雇用する企業は、在留カードの正確な確認と管理が法令遵守の第一歩です。本記事では、在留カードの役割から、確認すべき具体的な項目、偽造カードの見分け方、そして雇用時に企業が取るべき対応までを詳しく解説します。不法就労を未然に防ぐため、企業の担当者はこの知識を確実に押さえておく必要があります。
在留カードは外国人雇用の前提となる重要書類
日本国内で外国人を「合法的に」雇用するためには、その外国人が適切な在留資格を持っているかを証明する「在留カード」の確認が不可欠です。在留カードは、出入国在留管理庁が中長期在留者に交付する身分証明書であり、就労可否や在留期間などが記載されています。
特定技能などの就労が可能な在留資格を持つかどうかは、雇用の可否を判断するうえで非常に重要です。企業側の確認が不十分な場合、「不法就労助長罪」に問われるおそれがあるため、求人・採用の段階から在留カードの取り扱いには細心の注意が必要です。
外国人が持つ29種類の在留資格と就労制限について
就労可否を判断するには在留資格の理解が不可欠
在留資格には29種類があり、それぞれの資格に応じて就労の可否が異なります。以下のような違いがあるため、雇用前には在留資格ごとの条件を把握しておく必要があります。
就労可能な主な在留資格の例
- 特定技能:一定の技能水準と日本語能力を有する人材に限って就労可能。業種は限定されている。
- 技術・人文知識・国際業務:専門職種に就くことができる。
- 技能実習:研修の一環として就労が認められているが、転職不可。
原則就労不可だが資格外活動で勤務可能な在留資格
- 留学や家族滞在などは、原則就労不可。ただし「資格外活動許可」を得ることで、週28時間以内の就労が可能。
このように、在留資格の種類によって雇用の可否が左右されるため、採用担当者は資格の内容と制限を正確に理解する必要があります。
在留カードで確認すべき具体的な項目とは
採用時に企業が必ずチェックすべき4つのポイント
外国人の雇用を行う際、在留カードで次の4点を確認しましょう。
氏名と顔写真の一致
本人確認の基本です。偽造カードや他人のカードを使用していないか確認するため、顔写真と本人が一致しているかを直接確認する必要があります。
在留期間の有効性
在留カードには「在留期間満了日」が記載されています。期間が切れていないかを確認し、更新申請中である場合は裏面の記載で確認します。
就労資格の有無
表面に「就労制限の有無」が記載されています。「就労可」となっている場合は問題ありませんが、「就労不可」や「資格外活動許可」によって条件付き就労しかできないケースもあります。
資格外活動の許可
裏面に「資格外活動許可」の記載がある場合は、28時間以内の労働が可能です。とくに留学生などはこの許可を取得していることが多いため、裏面も忘れずに確認しましょう。
偽造在留カードを見抜くための確認手順
見た目や技術で本物と偽物を見分けるポイント
近年、偽造在留カードの流通が増えており、企業が知らずに偽造カードを受け入れてしまうリスクが高まっています。以下の方法で確実に確認しましょう。
偽造防止の物理的特徴を確認
- 「MOJ」の透かし文字が見えるか
- カードの左端を傾けたときに色が変化するか
- フォントや写真に不自然な点がないか
入管庁提供のICチップ読取アプリで確認
在留カードにはICチップが内蔵されており、入管庁の公式アプリで読み取ることで、カード情報が改ざんされていないか確認可能です。
入管庁のWEB照会システムを活用
「在留カード等番号失効情報照会」ページで、カード番号を入力することで、失効していないか確認できます。
「特定活動」などパスポートも確認が必要なケース
「特定活動」の在留資格を持つ外国人は、個別に活動内容が異なるため、就労可否はパスポートにホチキス止めされた「指定書」を確認する必要があります。カードだけでは就労の範囲が把握できないため、必ずパスポートと併せて確認しましょう。
不法就労助長罪に問われないための注意点
「知らなかった」では済まされない企業責任
入管法72条の2では、外国人が就労不可であることを知らずに雇用しても、過失があれば企業が責任を問われることが明記されています。罰則内容は以下の通りです。
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
- 併科される可能性あり
「求人の応募者が就労できると言っていた」「週28時間の制限を知らなかった」という言い訳は通用しないため、確認の手順と証拠の保管を徹底しましょう。
企業が実施すべき在留カード確認と管理の実務対応
採用から雇用期間中までの管理フローを確立する
在留カードとパスポートのコピーを取得
採用時には、在留カードとパスポートの原本を確認し、コピーを保管します。パスポートは偽造リスクが低いため、あわせて確認することで信頼性が増します。
在留期間の管理体制を整備
雇用後も在留期間を常に管理し、更新時期が近づいたら本人に手続きを促すようにしましょう。企業側が在留期限を見落とすと、結果的に不法就労となる危険があります。
紛失や偽造発覚時の対応
- 紛失時は、14日以内に再交付申請を行うよう伝える
- 偽造が疑われる場合は、コピーなどの証拠を入管に通報
- 在留カードの携帯は「原本」が義務。画像やコピーは不可
みなし再入国と在留カードの失効に注意
1年以内に再入国しないとカードは無効になる
外国人が「みなし再入国許可」で海外出張に出た場合、出国日から1年以内に帰国しないと、在留カードが失効します。災害や病気などの予期せぬ理由で帰国が遅れるリスクもあるため、1年以上の出張が想定される場合は、正式な「再入国許可」を取得してから出国するよう指導しましょう。
まとめ
特定技能をはじめとする外国人の雇用を進める上で、在留カードの確認は採用活動の中核的なプロセスです。
カードの有効性だけでなく、就労制限、資格外活動の有無、さらには偽造リスクにも注意を払い、企業として法令を順守した雇用管理体制を整えることが求められます。求人・採用活動を行う際は、在留資格とカードの適正な確認を徹底し、不法就労を防ぐ体制を社内に構築しましょう。
