特定技能で外国人介護士を雇用する方法と4つの在留資格の違い

人手不足が深刻化する介護業界において、外国人労働者の雇用は重要な選択肢となっています。本記事では、「特定技能」を含む4つの在留資格ごとの特徴や違い、雇用フロー、求人時の注意点、そして外国人介護士を採用するメリットと課題について詳しく解説します。施設ごとの目的に合った最適な在留資格の選び方にも触れ、円滑な採用活動をサポートします。

外国人介護士の採用が広がる背景と在留資格の種類

介護業界では高齢化の加速により慢性的な人材不足が続いており、外国人介護士の受け入れが進んでいます。求人活動を行う多くの事業所が、日本人だけでは人材を確保できない現状を打開するため、海外からの労働力に期待を寄せています。

2024年時点で医療・福祉分野で働く外国人労働者は8万人を超え、介護分野においては以下の在留資格のもとで就労が可能です。

  • 特定技能:即戦力人材としての雇用が可能
  • 技能実習:育成型の制度で段階的な就労
  • 介護(介護ビザ):国家資格を取得した高スキル人材
  • 特定活動(EPA介護福祉士):国際的な協定に基づく受け入れ

それぞれ制度設計や雇用の条件が異なるため、自施設の課題に応じた選択が必要となります。

特定技能を活用した外国人介護士の雇用とメリット

特定技能制度とは?即戦力の外国人材が採用可能に

2019年に新設された「特定技能」は、一定の日本語能力と専門スキルを有する外国人を対象にした在留資格です。特定技能1号を取得した外国人介護士は、介護業務のほぼすべてに従事でき、現場で即戦力として働くことが可能です。

特定技能の特徴と対応可能な業務範囲

  • 最長5年間の在留が可能
  • 介護保険3施設(特養・老健・療養型)を含む多くの介護現場で就労可能
  • 一人夜勤が可能(技能実習生では不可)
  • 初日から人員配置基準にカウントされる

ただし、訪問介護業務には従事できない点には注意が必要です。

育成型での雇用に向く技能実習制度の特徴と活用方法

技能実習は教育・指導体制が必要な制度

技能実習制度は、母国への技術移転を目的とした制度で、事業所が実習生を指導しながら介護業務を学ばせることが求められます。段階的に実習を進め、試験に合格することで実習期間を延長することができます。

技能実習から特定技能への移行も可能

技能実習2号を良好に修了した場合、「特定技能1号」への移行が可能となり、最長10年間の就労が実現できます。

この流れを活用すれば、教育に投資した人材を長期的に雇用し続けることが可能です。求人活動を安定的に行いたい事業所にとって有効な戦略となります。

国家資格取得者による安定的な雇用を可能にする介護ビザ

介護の在留資格は長期雇用を見据えた制度

「介護ビザ」は、国家資格である介護福祉士の取得を前提とした在留資格です。日本語能力や介護技術が高く、業務上の指示や報告がスムーズに行える人材が多く、長期間の雇用に適しています。

家族帯同も可能で定着率が高い傾向

介護ビザを持つ外国人は、家族を日本に呼び寄せることができ、生活基盤が安定しやすいため、定着率が高まる傾向にあります。長く勤めてもらいたい施設には理想的な人材です。

EPA介護福祉士による計画的な人材育成と受け入れ

特定活動(EPA)は制度が整った安心の枠組み

経済連携協定(EPA)に基づく特定活動では、介護福祉士候補者を日本に受け入れ、4年以内に国家試験合格を目指す制度です。インドネシア・フィリピン・ベトナムからの人材が対象で、制度運用の実績も豊富です。

看護教育を受けた高スキル人材を計画的に受け入れ可能

母国で専門教育を受けた候補者が来日するため、介護への理解が深く、即戦力としても期待できます。国家試験の合格が条件ですが、支援体制を整えることで長期的な雇用につながります。

特定技能外国人の採用フローと必要な手続き

特定技能外国人の採用は、在住地によって手続きや期間が異なります。以下に日本在住・海外在住の場合の流れを整理します。

日本在住の場合の採用フロー

  1. 日本語および介護技能試験に合格、または技能実習を良好に修了
  2. 在留資格変更許可申請
  3. 入職・雇用契約の締結

所要期間:3~4か月程度

海外在住の場合の採用フロー

  1. 試験合格後、在留資格認定証明書を申請
  2. 証明書交付後に来日
  3. 入国後、入職・雇用開始

所要期間:5~7か月程度

求人を行う施設は、雇用開始までの期間を見越して計画的に採用活動を行う必要があります。

外国人介護士を採用することで得られる主なメリット

若くて体力のある労働力の確保

日本の介護業界では、高齢の職員が多いことが課題となっており、若い外国人労働者の雇用は現場の活性化につながります。

地方の施設でも人材を確保できる可能性が高い

日本人応募者の集まりにくい地方でも、条件が合えば外国人材の採用が可能で、地域の人手不足対策として有効です。

男女バランスの調整にも寄与

男性の求職者が比較的多いため、スタッフの構成バランスを整えることも可能です。

外国人介護士の雇用における課題と対応策

在留期間の制限と長期雇用への工夫

技能実習や特定技能では在留期限があるため、長期雇用には資格変更や制度移行を視野に入れることが重要です。

日本語能力の不足とその対応

日本語による意思疎通が難しい場合もありますが、採用時の基準設定や語学研修の導入により改善が期待できます。すでに日本に在住している外国人を雇用することも一つの選択肢です。

離職リスクと定着率の向上策

転職文化の違いから離職リスクも懸念されますが、労働条件や職場環境への満足度を高めることで、長く働いてもらうことができます。求人段階で職場の魅力を丁寧に伝えることが大切です。

まとめ

外国人介護士の採用においては、求人の目的や施設の体制に応じて適切な在留資格を選択することが成功のカギです。

「特定技能」をはじめとする4つの在留資格は、それぞれに特徴や雇用条件が異なるため、事前に制度理解を深め、計画的な採用活動を行うことが重要です。適切な人材を確保することで、介護現場の安定運営とサービスの質向上に繋がります。