フィリピン人を現地から採用する場合、日本の在留資格取得に加えて、フィリピン政府機関であるPOLOやPOEAの手続きが必要です。これらはフィリピン独自の雇用管理制度で、エージェントの介在や一定の審査が義務付けられています。本記事では、特定技能などでフィリピン人を雇用する際に必要な基礎知識と手続きの流れを解説します。
フィリピン人雇用に必要な制度理解
フィリピン政府が設ける雇用管理制度
フィリピンでは、海外で働く国民を保護するため、厳格な雇用管理制度が設けられています。これは、不適切な雇用契約や違法仲介を防ぐための措置であり、日本企業がフィリピン人を雇用する際も、原則としてこの制度に従う必要があります。
関連する3つの主な機関
DOLE(フィリピン労働雇用省)
DOLEは、労働者の権利保護を目的とするフィリピンの中央機関です。国内外の雇用問題について監督・調整を行い、雇用主と労働者のトラブル発生時には調整や裁定も行います。
POEA(フィリピン海外雇用庁)
POEAは、海外で働くフィリピン人の送り出しを管理する機関で、雇用主の審査や雇用契約の承認を行います。POEAが認定したエージェントのみが合法的に人材を海外に送り出すことができます。
POLO(駐在海外労働事務所)
POLOは、各国に設置されたフィリピン政府の出先機関で、海外における労働者支援や審査手続きの窓口です。日本ではフィリピン大使館や総領事館内に設置されています。
フィリピン人の直接雇用は禁止が原則
直接雇用の制限とその背景
2017年以降、フィリピン政府は自国民保護の観点から、認可を受けたエージェントを介さない海外雇用を原則禁止としました。採用担当者が現地で直接交渉・契約することは、制度上許されていません。
雇用にはPOEA認定エージェントの介在が必須
日本企業がフィリピン人材を雇用する際には、まずPOEA認定の人材紹介会社と契約を結び、所定の手続きを進める必要があります。このプロセスを省略した場合、労働者がOEC(海外就労認定証)を取得できず、出国ができなくなることもあります。
フィリピン在住者の雇用手続きの流れ
採用から日本入国までの主なステップ
- POEA認定人材会社との契約締結
- 必要書類の準備・POLOへ提出(オンラインまたは郵送)
- POLOでの書類審査(約2週間)
- 審査通過後、POEA担当官による面接(英語)
- POLOから認定書類の発行
- 人材会社がPOEAへ提出し、認可を受ける
- 人材の選定・面接・採用
- 出入国在留管理局にて在留資格認定証明書(COE)申請
- フィリピン国内の日本大使館で査証取得
- POEAにてOEC申請・取得
- 日本への入国
この一連の手続きは数か月を要するため、計画的な採用活動が求められます。
日本在住フィリピン人の雇用における注意点
日本国内でもPOLOの手続きが必要なケース
すでに日本に在住しているフィリピン人であっても、身分系在留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等)以外の場合には、POLOを通じた手続きが必要です。特に技能実習や特定技能などの在留資格を持つ場合、再入国時にOECの提示が求められます。
非対応なケースと企業側の対応
この手続きは、通常の派遣会社が代行することはできません。雇用主自身がフィリピン政府との対応を行う必要があり、煩雑な管理が求められます。
直接雇用が認められる特例と申請手続き
直接雇用禁止免除の条件
一部の高度人材や専門職などについては、POEAへの申請により直接雇用が認められる場合があります。主な条件は以下の通りです。
- 管理職や技術職、国際機関等での雇用
- 所定以上の報酬や福利厚生の提示
- 大卒以上で専門知識・実務経験を有する人材の採用
免除申請の流れ
- 指定書類を準備してPOLOへ提出
- 審査(5〜10営業日)
- 面接の実施(合格時)
- COE申請と取得
- POLO認証およびOEC取得
- 日本入国
この免除申請はハードルが高く、POEAの判断によっては通常のエージェント経由に戻されるケースもあります。
採用時に注意すべきポイントとリスク管理
手続き漏れによるリスク
手続きを経ずに雇用した場合、労働者がフィリピンへの一時帰国後に再入国できなくなるリスクがあります。また、法的に不適切な採用と判断され、企業の信頼性やコンプライアンスにも影響を及ぼします。
法令遵守の重要性
フィリピン人の雇用は、フィリピン政府・日本政府の双方の法令を遵守しながら進める必要があります。特に特定技能などでの採用は、在留資格だけでなく、POEAやPOLOの制度理解と対応が不可欠です。
まとめ
フィリピン人材を特定技能などで雇用する場合、独自の制度であるPOEA・POLOを理解し、正規の手続きを踏むことが不可欠です。
違法なブローカーの排除や労働者保護を目的とした制度であり、日本企業にも一定の責任と対応が求められます。採用活動を円滑に進めるためには、フィリピン政府の要件を正しく理解し、計画的かつ丁寧な対応が求められます。
