人材不足が深刻化する建設業界では、特定技能を持つ外国人労働者の雇用が急速に広がっています。しかし、外国人を受け入れるには在留資格の正しい理解と、企業としての受け入れ体制の整備が不可欠です。
本記事では、特定技能制度の仕組みや建設業に対応する在留資格の種類、求人時の注意点、法的リスク回避の方法など、建設業の現場で外国人労働者を雇ううえで押さえておきたい基本と実務をわかりやすく解説します。
建設業界の人材不足がもたらす採用構造の変化
労働人口の減少と高齢化が続く建設業
建設業界は長年にわたり人材不足に悩まされており、その背景には就業者の減少と高齢化があります。統計によると、建設業従事者数は過去20年間で大きく減少し、60歳以上の割合が顕著に増加しています。若年層の建設業離れが進むなか、企業にとって新たな人材の確保は急務となっています。
外国人の採用が現場を支える新たな手段に
このような背景から、外国人材の雇用が建設業界にとって現実的かつ必要な選択肢となっています。技能実習や特定技能といった在留資格の制度整備が進んだことにより、外国人労働者の受け入れが制度的にも可能になりつつあります。
建設業で雇用できる主要な在留資格とその特徴
特定技能は現場作業が可能な新しい制度
特定技能制度は、2019年に創設された新しい在留資格です。建設業を含む14分野で深刻な人手不足を解消することを目的に導入されました。建設分野では、型枠施工やとび、内装仕上げなど19の職種で認められています。
特定技能1号と2号の違いと活用方法
- 特定技能1号:試験合格者または3年以上の技能実習修了者が対象。在留期間は最長5年。
- 特定技能2号:より熟練した技能を持つ者が対象で、在留期間の上限がなく、家族の帯同も可能。
受け入れ企業は、外国人が安心して働けるよう「支援計画」の作成が義務づけられており、登録支援機関への委託も可能です。
技能実習は教育的な性格が強い制度
技能実習は、日本の技術を母国に移転するという国際貢献を目的とした制度で、建設業でも広く活用されています。原則3年(延長により最長5年)の在留が認められ、監理団体を通じて受け入れる形が一般的です。実習生は日本語や生活習慣を学びながら、OJTを通じて実務経験を積みます。
技術・人文知識・国際業務は専門職の求人に適した資格
この在留資格は、建築設計や施工管理、経理や法人営業などの専門職に対応しています。採用には、大学卒業や10年以上の職務経験が必要となり、企業側も業務内容や給与水準に見合った雇用条件を整える必要があります。
外国人労働者を求人・雇用する際に押さえておくべき実務上のポイント
在留資格の確認と管理は雇用の第一歩
外国人を雇う場合、まず確認すべきは在留資格の種類とその内容です。在留資格の範囲を超えた業務に従事させた場合、不法就労助長罪などで企業が刑事責任を問われることになります。採用段階で在留カードの内容や期限、就労可否を確実に確認する体制を整えましょう。
最低賃金・待遇格差は厳禁。同一労働同一賃金を徹底する
労働条件については、日本人と同じ業務をしている場合、同等の待遇を提供する義務があります。特定技能や技能実習の受け入れにおいても、賃金や福利厚生に関する記録は定期的にチェックされ、法令に違反すれば指導や制裁の対象になります。
賃金設定時の具体的な注意点
- 地域別最低賃金を下回らないようにする
- 残業代や深夜割増を適切に支払う
- 社宅費などの控除項目も適正に管理する
給与明細の多言語化など、外国人にとっても理解しやすい運用が求められます。
建設業における特定技能外国人の受け入れ体制づくり
求人活動では正確な情報提供と誤解の排除が重要
外国人向けの求人では、業務内容や労働条件を誤解なく伝えることが重要です。募集要項は簡潔かつ明確にし、日本語だけでなく多言語対応が望まれます。また、外国人特有の事情(ビザ更新の必要性、支援体制の有無など)についても、あらかじめ説明しておくとトラブルの予防になります。
労働災害防止には多言語対応のマニュアル整備が有効
建設業は労災が発生しやすい業種であり、安全管理が非常に重要です。言語の壁を超えるため、マニュアルや安全教育資料は母国語で作成するか、イラストや動画で視覚的に伝える工夫が必要です。
事故時の対応と事前の準備
- 外国語対応が可能な医療機関を把握しておく
- 緊急時の連絡体制を社内で共有しておく
- ヘルメット・安全帯の使い方などは実演も交えて指導する
文化的背景の違いと向き合うことが長期雇用につながる
外国人労働者と日本人とでは、価値観や常識に違いがあることが一般的です。採用後は、時間の感覚、報連相のスタイル、宗教上の配慮などについて、相互理解を深めることが職場の安定につながります。
多文化共生の職場づくりで得られる効果
異文化に触れることで、日本人社員の視野が広がり、チームの結束が高まるといったプラスの効果もあります。言語や文化の違いをネガティブに捉えるのではなく、柔軟に受け入れることで、職場全体の活性化にもつながります。
建設業における特定技能外国人の雇用は人材確保の大きな選択肢
建設業で外国人を雇用するには、在留資格の正確な理解と法令遵守が欠かせません。とくに特定技能制度は、現場作業に対応した即戦力の人材を確保できる貴重な手段です。
技能実習との違いや採用の注意点を理解し、適切な求人活動と支援体制を整えることで、外国人労働者の定着と職場の安定を実現できます。建設業の未来を担う人材確保の一環として、特定技能外国人の雇用を前向きに検討することが重要です。
