外国人労働者の受け入れが広がる中で、企業は日本人と同等に外国人にも適用される労働法を理解し、適切な対応が求められています。特に「労働基準法」「出入国管理及び難民認定法(入管法)」「雇用対策法」「最低賃金法」の4つは、外国人雇用の基本を構成する重要な法律です。この記事では、これらの法律のポイントや企業の義務についてわかりやすく解説します。
外国人労働者の雇用には労働法が適用される
外国人も日本人と同じ法的保護を受ける
外国人労働者の雇用には、日本人と同様に労働関係法令が適用されます。これには、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法、厚生年金保険法などが含まれます。特に、「国籍を理由に差別してはならない」と定める労働基準法第3条により、外国人も平等な待遇を受けることが法律で保証されています。
企業は、外国人だからといって賃金や労働時間などで不利な条件を設けることはできません。これは正社員、契約社員、アルバイトなど、雇用形態にかかわらずすべてに適用されます。
在留資格の確認は入管法で必須事項
在留資格ごとの就労制限を把握する
出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)は、日本に出入国・滞在する外国人を管理するための法律です。この法律では、外国人が就労できるかどうかは「在留資格」によって決まります。2024年現在、在留資格は29種類あり、それぞれ活動内容が明確に定められています。
企業が外国人を採用する際には、その在留資格で「就労が認められているか」を必ず確認しなければなりません。認められていない活動をさせた場合、外国人本人だけでなく、雇用した企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
資格外活動許可と労働時間の制限
たとえば、「留学」などの就労が主目的でない在留資格の者がアルバイトをする場合、資格外活動許可が必要です。この許可を得れば、週28時間以内(長期休暇中は週40時間まで)の労働が可能です。これを超えると、不法就労となり、在留資格の更新が難しくなるだけでなく、企業も刑罰の対象になります。
外国人雇用対策法に基づく企業の届出義務
外国人雇用状況の届出を忘れずに
雇用対策法では、外国人を雇用した際の「外国人雇用状況の届出」が企業に義務付けられています。雇用形態にかかわらず、雇用した場合・離職した場合のいずれも、ハローワークへ届出を行う必要があります。
これは、雇用実態の把握や就職支援、不法就労の防止などを目的とした制度であり、違反すると30万円以下の罰金が科される可能性があります。
届出方法と注意点
届出は、雇用保険の加入の有無により手続きが異なります。雇用保険に加入する場合は「雇用保険被保険者資格取得届」の提出で代替可能です。非加入の場合は別途「外国人雇用状況届出書」を提出する必要があります。インターネットでも手続き可能なため、忘れずに対応しましょう。
最低賃金法の遵守と賃金の適正化
地域別最低賃金の確認が必須
最低賃金法では、労働者に対して最低限支払わなければならない賃金額が定められています。都道府県ごとに異なる最低賃金が毎年見直されるため、最新の金額を確認したうえで、雇用契約を締結する必要があります。
最低賃金を下回る賃金で雇用していると、その契約は無効となり、企業は差額を支払わなければなりません。違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
外国人労働者にも平等な適用
この最低賃金は、外国人労働者にも同様に適用されます。外国人だからといって安く雇えると考えるのは誤りであり、適正な労働条件の整備が企業には求められています。
特定技能制度と企業の対応
特定技能制度の概要
「特定技能」は、即戦力として外国人を受け入れるために導入された在留資格で、介護・建設・農業など14分野での就労が認められています。この制度は2019年に創設され、日本が単純労働分野で外国人を本格的に受け入れるきっかけとなりました。
特定技能には「1号」と「2号」があり、それぞれ在留期間や条件が異なります。1号では最長5年間の就労が可能で、一定の技能試験と日本語試験の合格が要件です。企業は、これらの資格に基づいて適切な雇用契約と労働環境を提供する責任があります。
外国人雇用を成功させるために
外国人労働者を雇用することは、人手不足の解消や多様な人材の活用という点で大きなメリットがあります。しかしその一方で、法令の順守と適切な労務管理が不可欠です。
労働基準法、入管法、雇用対策法、最低賃金法などの関連法を正しく理解し、在留資格や届出義務を確実に管理することで、トラブルのリスクを防ぎ、持続可能な外国人雇用を実現することが可能です。
