日本で学ぶ外国人留学生を正社員として採用するには、就労可能な在留資格への切り替えが必要です。特に「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」といった在留資格は、企業が留学生を求人・雇用する際に多く利用されています。
本記事では、それぞれの在留資格の特徴と変更手続きの流れ、申請に必要な書類、注意点について詳しく解説します。計画的な手続きがスムーズな採用と適正な在留資格の取得につながります。
留学生を正社員として雇用する際に必要な在留資格変更の基本
日本で勉強している留学生は、「留学」の在留資格で滞在しており、原則として就労できません。週28時間以内のアルバイトは「資格外活動許可」により認められていますが、正社員として長時間働くには「就労可能な在留資格」に変更する必要があります。
企業が留学生を正式に求人・雇用するには、以下の在留資格に変更するのが一般的です。
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
- 特定技能(1号・2号)
いずれの資格も、業務内容と在留資格の要件が一致している必要があります。
在留資格変更許可申請の全体の流れと準備スケジュール
申請手続きの基本的な流れ
在留資格の変更は、「在留資格変更許可申請」という手続きによって行います。これは本人による申請が原則ですが、企業側が必要書類を整え、サポートすることが求められます。
申請の流れは以下のとおりです。
- 雇用契約の締結
- 必要書類の準備(企業・本人双方)
- 地方出入国在留管理官署へ申請
- 約50日程度の審査
- 許可後に収入印紙4,000円で在留カード更新
スケジュール管理の重要性
4月入社などの時期に合わせた求人は、1月〜3月に申請が集中するため、12月中の申請が望ましいです。書類不備や追加書類の対応を含め、変更の3カ月前には準備を始めることが理想的です。
技術・人文知識・国際業務への変更手続きと申請要件
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、主に大学や専門学校などで学んだ知識や技術を、日本の企業で活かして働くためのものです。ホワイトカラー系の職種が対象で、単純労働は認められません。
技術・人文知識・国際業務で必要となる条件
- 学歴や職歴が職務内容に関連していること
- 専門的な知識を活かす業務であること
- 給与が日本人と同等以上
- 安定した雇用契約と企業経営
- 法令違反歴がないこと
企業側が提出すべき主な書類
- 労働条件通知書または雇用契約書
- 雇用理由書(任意提出だが審査に有効)
- 企業の決算書、登記事項証明書など
- 企業カテゴリーに応じた追加資料
企業カテゴリーとは何か?
出入国在留管理庁では、企業を以下の4つのカテゴリーに分類し、それぞれ求められる書類が異なります。
- カテゴリー1:上場企業や公的機関など
- カテゴリー2:源泉徴収税額1,000万円以上の企業
- カテゴリー3:中小規模の一般企業
- カテゴリー4:設立間もないスタートアップなど
カテゴリーが下がるほど、必要書類が増える傾向にあるため、事前の確認と準備が不可欠です。
留学生本人が準備すべき書類
- 最終学歴の卒業証明書
- 成績証明書、カリキュラム資料など
- 顔写真(4cm×3cm)、パスポート、在留カード
- 資格や検定の合格証の写し
業務内容との関連性を示す資料が重要で、第三者にもわかりやすい形で提出することが審査を通過する鍵となります。
特定技能ビザへの在留資格変更とその特徴
「特定技能」は、主に人手不足が深刻な業種(介護、建設、農業など)で外国人労働者を雇用するために導入された制度です。学歴との関連性が求められないため、専門学校や日本語学校出身の留学生でもチャレンジしやすいのが特徴です。
特定技能ビザに変更するための要件
- 指定の技能試験と日本語試験に合格していること
- 14業種のうちの対象業種に従事すること
- 企業と正式な雇用契約を結んでいること
- 健康診断の受診、事前ガイダンスの受講が済んでいること
特定技能での雇用に必要な企業書類
- 雇用契約書
- 外国人支援計画書(義務)
- 支援実施記録や事前ガイダンスの記録
- 決算書、納税証明など企業の安定性を示す資料
登録支援機関を利用することで、支援業務を外部委託することも可能です。
留学生側が用意すべき書類
- 日本語・技能試験の合格証明書
- 在留資格変更許可申請書
- 履歴書、健康診断書、顔写真など
- パスポートおよび在留カードの提示
業務内容と在留資格の適合性に関する注意点
在留資格と実際の業務内容が一致していなければ、審査で不許可になる可能性が高まります。
資格に適合しない業務は不許可の原因に
- 「技人国」では、単純労働(清掃、配膳など)は認められない
- 「特定技能」は単純労働も可だが、14業種に限られる
業務内容の一部に適合しない業務が含まれていると、在留資格変更の許可が下りないこともあるため、業務内容の詳細確認と明確化が必要です。
まとめ
外国人留学生を雇用する際には、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など、就労可能な在留資格への変更手続きが不可欠です。それぞれの在留資格には独自の要件と提出書類があり、企業と留学生本人の両方に準備が求められます。
特に「業務内容の適合性」や「申請の時期」など、審査で重視されるポイントを理解し、余裕を持ったスケジュールで対応することが、円滑な採用活動と在留資格取得への近道です。将来の戦力となる外国人材の確保に向けて、計画的な手続きを行いましょう。
