台湾人材の雇用においては、日本との文化的な親和性や語学力といったメリットだけでなく、異なる仕事観や雇用慣行を理解することが重要です。台湾人が特定技能などの在留資格を利用して日本で働く際には、求人の方法、労務管理、キャリア設計などに注意すべきポイントが多数あります。
本記事では、台湾人材の国民性や就職事情、特定技能制度の活用方法、さらに求人時の留意点を体系的に解説します。
台湾人の性格と文化的背景を踏まえた雇用戦略
日本文化への理解と親日的な国民性を活かす
台湾人は日本文化への関心が高く、テレビ番組やアニメを通じて日常的に日本語に触れていることが多いため、採用後も文化的なギャップが少ないのが特徴です。協調性や礼儀を重んじる性格の傾向もあり、日本の職場に比較的馴染みやすいとされています。
男女の価値観や家庭重視の文化も理解しておく
台湾では男女の意見表明に差が少なく、女性の発言力が強い場面も珍しくありません。また、家族との時間を大切にする価値観が浸透しており、雇用後にその点を尊重することが定着率向上に寄与します。
台湾の雇用・転職事情と給与水準の変化に注目
転職前提のキャリア形成が一般的な台湾労働市場
台湾では、学生が卒業後すぐに企業に就職し、そのまま定年まで働くという日本型の雇用は一般的ではありません。初期キャリアでは未経験でも入社可能な企業でスキルを積み、転職を繰り返して希望の職種や給与を実現していく文化があります。
台湾の退職金制度とその背景
台湾には「労働者定年退職金条例」があり、雇用主が毎月給与の6%以上を積み立て、労働者が転職しても引き継がれる制度があります。これは、転職が当たり前という台湾の雇用慣行を支える仕組みであり、日本企業もこの背景を理解した対応が求められます。
台湾の平均給与水準と日本の求人との比較
台湾の2022年時点での平均年収は約300万円(月収:約23万7,000円)と、日本の給与水準にやや近づいています。とくに理系分野では国内産業の成長によって高給化が進み、日本の企業が競争力を持って採用するのが難しくなっています。
日本就職を希望する台湾人の特徴と求人への対応策
台湾人が日本で働きたいと考える理由とは
台湾人が日本で働きたいと考える主な動機には、「日本文化が好き」「日本語を活かした仕事に就きたい」「日本に地理的に近く、生活の不安が少ない」といった要素があります。このような動機は金銭的な理由よりも、自己実現や文化的な興味によるものであるため、求人内容にもその点を反映させることが重要です。
日本語能力の高さが採用後の即戦力に
台湾では日本語の学習が盛んであり、日本語能力試験(JLPT)N1・N2レベルの受験者も多く存在します。語学力に優れた人材を確保することで、サービス業などでも即戦力として活躍が期待できます。
特定技能制度を活用した台湾人材の雇用方法
技術・人文知識・国際業務との違いを明確に理解する
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、大学卒業以上の学歴と職務内容の関連性が必要で、主に通訳・企画・営業職などが対象です。単純労働は許可されませんが、日本語能力が高い台湾人にとっては取得しやすい資格のひとつです。
特定技能での雇用に向けた注意点と台湾の現状
特定技能制度は、宿泊・外食などの特定産業分野における人手不足解消を目的とした在留資格で、業務の幅が広く、単純労働も含まれます。しかし、台湾ではこの制度に必要な試験の実施数が少なく、現時点での活用は限定的です。今後の制度整備や試験実施状況の動向を注視しながら採用戦略を練る必要があります。
ワーキングホリデー制度を利用した柔軟な雇用方法
雇用側の手続き負担が少ないメリット
ワーキングホリデーは、滞在中に自由な働き方ができる制度で、雇用側にとっては在留資格の申請手続きが不要というメリットがあります。採用の即時性が高く、短期的な人材ニーズに対応できます。
在留期間の制限とその後のキャリア設計
一方で、最大1年までという在留期間の制限があり、長期的な雇用には不向きです。ワーキングホリデー終了後も働いてもらいたい場合は、就労ビザへの切り替えが必要となります。そのため、採用時点で将来的なビザ変更の可能性を含めたキャリアプランを提示することが望まれます。
台湾人の仕事観に基づいた職場づくりと定着施策
成果主義と柔軟性を重視する働き方への理解
台湾人は効率を重視し、結果を出すことを最優先とする傾向があります。スピード感のある仕事ぶりが魅力ですが、計画性や業務報告の習慣が薄いため、役割分担や報連相の仕組みを明確にする必要があります。
残業への抵抗とワークライフバランスの重視
プライベートや家族との時間を重視するため、残業を嫌う傾向があります。この価値観を尊重し、柔軟な勤務体系や働き方改革に取り組むことで、長期的な定着につながります。
転職を前提としたキャリア設計の工夫が不可欠
台湾では転職が一般的で、生涯の転職回数が平均7回以上とされます。長く働いてもらうためには、社内でのキャリアアップの可能性を具体的に提示し、「転職しなくても成長できる職場」であることを示すことが必要です。
まとめ
台湾人材の雇用にあたっては、特定技能やワーキングホリデーといった制度の活用に加え、日本との文化の違いを理解し、柔軟かつ戦略的な求人を行うことが求められます。日本語能力や文化適応力の高い台湾人は、接客・サービス業を中心に即戦力となり得る存在です。
企業側が明確なキャリアパスや働きやすい環境を整えることで、定着率の高い人材活用が実現できます。文化的背景と制度的な仕組みの両面を理解したうえで、持続可能な雇用関係を築くことが成功の鍵となるでしょう。
