外国人労働者の受け入れが拡大する中で、企業には「特定技能」などの在留資格に関する知識と適切な雇用管理が求められています。不法就労助長罪は、故意でなくても確認不足による過失で処罰される可能性があり、企業にとって深刻なリスクです。本記事では、不法就労の具体的な内容、不法就労助長罪の罰則、そして企業が取るべき求人・雇用の場面での対策を詳しく解説します。
不法就労の定義と実態を理解することが企業の責任
外国人を雇用する際、企業はその外国人が「合法的に就労できる資格」を持っているかを必ず確認しなければなりません。不法就労とは、単に資格のない人が働くことにとどまらず、就労範囲を逸脱した活動も含まれるため注意が必要です。
不法就労となる3つの典型的なケース
- 不法滞在中の外国人を雇用した場合
在留期限を過ぎたにもかかわらず日本に滞在し続けている外国人を雇用することは、明確な法律違反です。 - 就労資格のない外国人に働かせた場合
観光や文化活動などの在留資格は就労が認められていません。資格外活動許可がない場合、たとえ短時間でも雇用すれば不法就労となります。 - 許可された就労範囲を逸脱した場合
たとえば「特定技能」の在留資格を持つ外国人に、認められていない業種で働かせたり、就労時間を超えた勤務をさせたりする行為が該当します。
不法就労助長罪の罰則は企業にとって深刻なリスクとなる
入管法第73条の2に基づく不法就労助長罪とは
この罪は、外国人に不法に就労させる行為、またはその就労をあっせんする行為を処罰するものであり、企業や個人事業主も対象です。ポイントは「故意」だけでなく「過失」でも罰せられる点にあります。
企業が受ける具体的な罰則と2025年の厳罰化
現在の罰則内容は以下のとおりです。
- 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)
2025年6月以降は次のように強化されます。
- 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)
不法就労を行った外国人だけでなく、雇用主、求人あっせん者、宿舎の提供者などにも処罰が及ぶため、企業は全ての求人・雇用プロセスで慎重な対応が求められます。
不法就労助長罪に問われる企業の行為とは
不法就労助長罪のリスクは、求人・採用活動の段階から潜んでいます。以下のような行為は、企業の責任が問われる原因となります。
不法滞在者や退去強制者の雇用は即アウト
不法滞在の外国人や退去強制命令を受けている外国人には就労資格がありません。企業がこのような人を雇用すると、明確に違法となり刑事責任が発生します。
資格外活動許可の確認不足による雇用も処罰対象に
「留学」や「家族滞在」などの在留資格であっても、資格外活動許可があれば就労可能です。ただし、週28時間以内といった制限があります。これを超えて働かせた場合、企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。
特定技能などの就労資格での業種違反も要注意
「特定技能」は、認められた業種に限って就労が許可される在留資格です。企業が別の業種で外国人を働かせた場合、それだけで違法となり、処罰の対象となります。
雇用時に企業が行うべき在留資格の確認手続き
外国人を雇用する際、企業は書類上の確認だけでなく、実務的なチェック体制の整備が必要です。
在留カードのチェックポイントと具体的確認方法
- 在留期間が有効か確認する
有効期限が過ぎていないかを確認。 - 就労可能な資格かどうかを確認する
在留カードの「就労制限の有無」の欄を確認。 - 資格外活動許可の有無を確認する
特に「留学」や「家族滞在」の場合は必須。 - カードの真偽を目視およびアプリで確認する
出入国在留管理庁の公式アプリを使えば、ICチップ情報を読み取り、偽造カードの判別が可能です。
在留カード番号の失効情報も確認する
「在留カード等番号失効情報照会」により、カードの番号が失効していないかも確認可能ですが、偽造カードで実在する番号を使われているケースもあるため、物理的確認と併用が必要です。
外国人材の雇用で企業が注意すべき求人・労務管理のポイント
求人票作成時にも在留資格の要件を記載する
特定技能などの資格が必要な場合は、求人情報に明記し、不適切な応募を未然に防ぐ仕組みを作ることが大切です。
採用時には専門家のアドバイスを活用する
行政書士や社会保険労務士など、在留資格に詳しい専門家の助言を受けることで、書類の確認漏れや判断ミスを防止できます。
雇用後の勤務状況や業務内容も継続的にチェックする
雇用した後も、就労時間や担当業務が在留資格の範囲内で行われているかを定期的に確認することが重要です。現場任せにせず、企業全体としての管理体制を構築する必要があります。
まとめ
外国人材の受け入れが進む中で、「特定技能」などを持つ外国人の雇用は今後ますます一般的になります。しかし、制度への理解が不十分なまま求人や雇用を行うことは、不法就労助長罪という大きなリスクを伴います。
企業は在留資格の適正な確認を徹底し、就労内容・時間を明確に管理しなければなりません。不安がある場合には、専門機関や行政書士に相談しながら、適法で持続可能な外国人雇用の体制を整えることが求められます。
