特定技能の在留資格を取得するには、分野別の技能試験に加えて、一定以上の日本語能力を証明する必要があります。この記事では、特定技能外国人に求められる日本語能力の基準、代表的な試験である「JLPT(日本語能力試験)」と「JFT-Basic(日本語基礎テスト)」の概要や違い、受験方法までを詳しく解説します。特に、介護分野に必要な「介護日本語評価試験」についても触れ、採用や雇用の現場で必要な知識を整理しています。
特定技能における日本語試験の役割
特定技能とは何か
特定技能は、日本国内の人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるために設けられた在留資格です。対象となる分野には、介護、建設、農業、宿泊業、飲食料品製造業などがあります。
この資格は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に分かれており、1号は技能試験と日本語試験に合格することで取得できます。2号は、より高い専門性と実務経験が求められる在留資格で、取得には高度な技能が必要です。
在留資格取得に必要な要件
特定技能1号を取得するためには、次のいずれかを満たす必要があります。
- 技能試験および日本語試験に合格する
- 該当分野の技能実習2号を良好に修了する
いずれの方法を選ぶ場合でも、採用企業や受け入れ機関は、求人や雇用後の支援体制を整備することが求められます。
特定技能外国人に求められる日本語能力
一般的に求められる日本語レベル
特定技能で必要とされる日本語能力は、主に以下の2つの試験で証明されます。
- 日本語能力試験(JLPT)N4レベル
基本的な日常会話や文章を理解できる水準。ゆっくりとした会話なら聞き取れる程度。 - 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル
身の回りの情報(家族、買い物、仕事など)に関する簡単な文章や表現を理解し、基本的な意思疎通が可能な水準。
どちらの試験でも同程度の能力が求められ、受験者が自身に合った形式を選ぶことが可能です。
分野によって異なる求められる水準
一部の職種では、より高い日本語能力が求められます。例として、次の分野ではN3またはB1レベルが基準とされています。
- 自動車運送業(タクシー・バス)
- 鉄道業(運輸係員)
N3レベルでは、やや複雑な会話や文章も理解でき、自然なスピードでの会話も可能になります。B1レベルでは、身近な話題に関する情報交換や経験の説明など、日常生活における幅広い対応が可能です。
日本語能力試験(JLPT)の特徴
概要と実施時期
JLPTは、国際交流基金と日本国際教育支援協会が主催する試験です。海外でも多くの国で実施されており、年2回(7月・12月)に実施されます。ただし、国によっては年1回のみの場合もあるため、事前確認が必要です。
試験内容とレベル
JLPTはN1~N5の5段階に分かれており、特定技能で必要とされるのは主にN4です。出題範囲は以下の通りです。
- 言語知識(文字・語彙・文法)
- 読解
- 聴解
試験はマークシート方式で、各セクションに基準点が設定されています。全体の得点が高くても、1つでも基準点を下回ると不合格になる点に注意が必要です。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の特徴
概要と受験資格
JFT-Basicは、コンピューターを使って実施される日本語能力試験で、日本国内と一部海外で受験可能です。受験には以下の条件があります。
- 日本語を母語としないこと
- 国籍や年齢など、試験によって異なる制限あり
- 日本国内で受験する場合は有効な在留資格が必要
試験は年に複数回実施され、比較的柔軟に受験日を選べます。
試験内容とレベル
JFT-Basicの試験は、以下の4つのセクションで構成されます。
- 文字と語彙
- 会話と表現
- 聴解
- 読解
試験問題は約50問で、レベルはA1〜C2まで6段階あります。特定技能で必要とされるのはA2またはB1レベルであり、身近な会話ができる程度の日本語力が求められます。
介護日本語評価試験のポイント
試験の概要
介護分野で特定技能を取得する場合は、「介護日本語評価試験」にも合格しなければなりません。試験はコンピューターで実施され、15問を30分で解答します。
試験内容
- 介護のことば
- 介護の会話・声かけ
- 介護の文書
試験に合格するには、全体の60%以上の得点が必要とされています。
試験の予約方法と手続き
JLPTの予約方法
- 日本国際教育支援協会のウェブサイトにて「MyJLPT」IDを取得
- 所定の期間中に申し込み、受験料を支払い
- 受験票を持参して試験を受ける
海外受験の場合は、各国の実施機関を通じて申し込みます。
JFT-Basic・介護日本語評価試験の予約
- プロメトリック社のウェブサイトから予約
- 個人予約・団体予約の選択が可能
- 希望の日時と会場を選択し、クレジットカードまたはバウチャーで受験料を支払う
受験結果は、試験終了後すぐに画面上で確認できます。正式な成績証明はウェブサイトから発行可能です。
雇用現場での日本語能力への配慮
採用後、外国人材が職場にスムーズに適応するためには、日本語の運用能力を把握しておくことが重要です。特定技能取得時点の日本語力は、あくまで「日常会話程度」であり、業務遂行に必要な専門用語まではカバーしていないケースが多く見られます。
業務教育の一環として、継続的な日本語教育やサポート体制の整備を検討することが、長期的な人材定着と職場環境の安定につながります。
まとめ
特定技能1号を取得するには、分野別の技能試験とあわせて、JLPT(N4以上)またはJFT-Basic(A2以上)のいずれかに合格することが必要です。介護分野では追加で「介護日本語評価試験」も課されます。
試験の難易度や受験方法、対応するレベルは異なるため、自社の雇用ニーズや外国人材の背景に応じて適切な試験を選定し、支援体制を整えていくことが求められます。
特定技能人材の受け入れを考えるうえで、言語面の理解と対応は、求人の成功と就労後の定着に直結します。
