特定技能1号の在留外国人数と受け入れ実績【2020年データ分析】

2020年2月末時点での特定技能1号における在留外国人数は2,994人にとどまり、5年間での受け入れ目標の0.86%という低い達成率にとどまりました。とくにベトナムからの人材が突出して多く、飲食料品製造業や農業分野での雇用が目立ちます。

都道府県別では都市部への集中が顕著であり、今後は地方でも持続的な外国人材の受け入れ体制や求人環境の整備が求められています。

特定技能1号制度の概要と目的

「特定技能1号」は、深刻化する人手不足に対応するため、特定産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れることを目的として、2019年4月に創設されました。対象は14分野に及び、一定の技能水準と日本語能力を有する外国人が「在留資格:特定技能1号」で日本で就労することが可能となっています。

制度開始から約1年が経過した2020年2月末時点での在留者数は2,994人。5年間の受け入れ目標34万5,150人に対して達成率はわずか0.86%と、制度の本格稼働には至っていない状況です。

国別に見る特定技能1号の受け入れ状況と偏り

ベトナムからの在留者が圧倒的多数を占める

特定技能1号での在留外国人数は国によって大きな差があり、とくにベトナムからの受け入れが圧倒的です。2019年12月末時点のデータでは、全体の約30%をベトナムが占めています。

  • ベトナム:約900人
  • インドネシア:約190人
  • フィリピン:約110人
  • ミャンマー・中国:約100人
  • カンボジア:約90人
  • タイ:約80人
  • ネパール:約20人
  • その他:約30人

この傾向は、技能実習制度を通じてすでに多くのベトナム人が来日していることや、現地での情報提供体制が整っていることなどが影響しています。

特定技能1号の業種別在留者数と雇用の実態

飲食料品製造業と農業に人材が集中

2020年2月末時点での分野別の在留人数を見ると、飲食料品製造業と農業の2分野における雇用が特に目立ちます。慢性的な人手不足が続いており、求人活動も活発に行われています。

分野在留人数前回比(2019年12月末比)
飲食料品製造業1,017人+460人
農業545人+253人
素形材産業364人+171人
産業機械製造業359人+161人
建設業213人+106人
電気・電子情報関連産業128人+90人
外食業154人+54人
その他(介護、ビル清掃、自動車整備など)合計 約370人

求人が伸び悩む分野の特徴とは

介護や宿泊業、航空業などの分野では、求人の供給がありながらも在留人数は少ない状況が続いています。その理由としては、求められる日本語能力の高さ、職場環境の厳しさ、制度の認知不足などが挙げられます。たとえば、航空業では2020年2月時点で在留者ゼロという結果でした。

今後、制度周知や受け入れ企業への支援が進めば、これらの分野でも雇用が拡大する可能性があります。

地域別に見る特定技能1号の受け入れと求人動向

都市部に集中する在留外国人の分布

2019年12月末時点で、特定技能1号の在留外国人を100人以上受け入れている都道府県は以下の通りです。

  • 愛知県:127人
  • 埼玉県:112人
  • 大阪府:103人

これらの地域は、製造業や建設業などの産業集積地であり、外国人労働者の求人が多く出されている傾向にあります。一方で、地方都市や農村地域では、情報格差や支援体制の不足から求人があってもマッチングが進まないという課題が残っています。

地方での雇用拡大に向けた課題

地方自治体では、地域経済の維持や高齢化対策のため、特定技能制度の活用を模索する動きも出ています。外国人材に対する生活支援や日本語教育、地域との共生支援が鍵となる中、民間企業と行政の連携強化が求められています。

今後の制度運用と特定技能の展望

特定技能制度の今後の運用においては、受け入れ枠の見直しや分野別の課題解消が焦点となります。とくに以下のような対応が必要です。

制度の活性化に向けた具体的課題

  • 試験の開催回数や受験環境の改善
  • 送り出し国との協定強化と不正対策
  • 企業向けのサポート体制整備
  • 雇用先での労働環境・待遇の向上
  • 地方移住を促すインセンティブの導入

受け入れ側企業の理解促進と、求人側が安定して外国人材を雇用できる仕組みの整備が、制度全体の信頼性向上にもつながります。

まとめ

2020年2月末時点における特定技能1号の在留外国人数は目標には遠く及ばない結果となりましたが、今後の雇用拡大に向けた土台は着実に築かれつつあります。

ベトナムなどからの人材流入が先行するなか、飲食料品製造業や農業を中心に求人が活発です。今後は、制度の柔軟な運用と地域全体での受け入れ支援が、持続可能な外国人雇用の実現につながる鍵となるでしょう。