日本国内の深刻な人手不足に対応する手段として注目されているのが、特定技能の在留資格を活用した外国人材の雇用です。特定技能制度では、採用に必要な手続きや費用、求人方法、就労開始までの期間など、従来の外国人採用とは異なる多くのポイントがあります。
本記事では、特定技能での雇用を目指す企業向けに、制度の基礎から実務に役立つ採用方法、雇用後の義務までを網羅的に解説します。
特定技能とは何かを正しく理解し、採用に活かす
特定技能とは、2019年の入管法改正により新設された在留資格で、一定の知識・技能を持つ外国人が日本国内の特定産業分野で働くことを可能にする制度です。
特定技能で雇用できる対象業種とは
特定技能制度では、以下のような12分野(14業種)での雇用が認められています。
- 建設業、造船・舶用工業
- 自動車整備業、航空業
- 宿泊業、介護分野
- ビルクリーニング
- 農業、漁業
- 飲食料品製造業、外食業
- 素形材産業、産業機械製造業、電気電子情報関連製造業
これらの業種では、即戦力となる外国人材の受け入れが制度上可能となっています。
特定技能1号と2号の違いを把握する
- 特定技能1号:在留期間最大5年、技能水準と日本語能力の基準あり。家族の帯同不可。
- 特定技能2号:熟練技能者向け。更新無制限、家族帯同可能。現在は建設・造船など限られた業種が対象。
雇用主としては、どの段階の人材を採用するかにより、支援義務や雇用期間の見通しが変わるため、制度の理解が不可欠です。
特定技能外国人を採用する4つのルートとその特徴
特定技能人材の採用には、対象者の在留状況や技能実習の有無により、大きく4つの採用ルートがあります。
国内在住者を採用する場合の手続き
国内に滞在している外国人(例:留学生)は、所定の日本語試験(N4レベル)と技能評価試験の合格が必要です。採用内定後は、在留資格変更許可申請を行い、約1〜3ヶ月の審査期間を経て就労が可能になります。
技能実習2号修了者の移行採用のメリット
技能実習2号を良好に修了した外国人は、日本語および技能試験が免除されるケースがあります。国内外を問わずこのルートを活用することで、採用手続きがスムーズになります。
海外在住者を新規で採用する場合の流れ
国外在住者は、日本語試験および技能評価試験に合格し、在留資格認定証明書を申請する必要があります。手続き完了後、ビザ取得・入国を経て雇用契約に至ります。内定から就労までに約2〜4ヶ月の期間が必要です。
海外の技能実習修了者を無試験で採用する場合
技能実習2号修了者で所定の条件を満たしていれば、再試験なしで特定技能に移行可能です。雇用契約の締結後、ビザ手続きを行い、企業が支援機関を活用して来日をサポートするのが一般的です。
特定技能人材の採用で発生する費用項目とその内訳
特定技能での雇用には、求人募集にかかる費用のほか、法的支援義務に伴うコストも発生します。
採用時に必要な主な費用と相場
- 人材紹介会社の紹介料:年収の20~30%
- 求人媒体掲載費:1ヶ月数万円~30万円
- 登録支援機関への委託料:月額2~4万円
- ビザ申請関連費用:1人あたり15~20万円
- 健康診断・受験料など:別途1万円~数万円
特定技能人材の支援費用は、法律により企業が全額を負担しなければならない点に注意が必要です。
登録支援機関の役割と委託の必要性
受け入れ企業は、外国人材に対して生活支援・労務管理・行政手続きの補助を提供する義務があります。これらの支援は専門知識を必要とするため、多くの企業が登録支援機関に委託しています。
特定技能外国人を雇用後に必要な行政手続き
採用後は、複数の機関への届出や報告義務が発生します。正確な管理が企業側に求められます。
入管への定期的な届出と注意点
3ヶ月ごとに以下の書類の提出が必要です。
- 受入れ状況に係る届出書
- 支援実施状況に係る届出書
- 活動状況に係る届出書
提出期限は四半期終了後14日以内で、提出先は企業所在地を管轄する出入国在留管理局です。
ハローワークへの外国人雇用状況届出も忘れずに
外国人を新たに雇用・離職させた場合は、ハローワークへの届け出が必要です。雇用保険の適用状況により、提出する様式や届出方法が異なります。届け出には在留資格、在留カード番号、国籍等の詳細情報が必要です。
採用から勤務開始までにかかる期間とスケジュール管理の重要性
国内在住者は在留資格変更申請、海外在住者は在留資格認定証明書の申請が必要で、いずれも1〜3ヶ月の審査期間がかかります。特に年度末〜年度初め(2月〜5月)は申請が集中し、審査が長期化する傾向にあるため、企業側は早めの準備が求められます。
外国人材の求人に適した採用手法と活用ポイント
求人の方法によって、コスト・精度・スピードが大きく変わるため、自社に合った手法を選ぶことが重要です。
外国人専門の人材紹介サービスを利用する
専門性の高い人材紹介会社を活用すれば、求人募集から採用後の支援までをワンストップで対応可能です。成功報酬型でリスクを抑えられる反面、紹介料の相場を事前に把握しておくことが大切です。
求人メディアやポータルサイトを活用して認知度を高める
外国人向けの求人メディアでは、在留資格やビザ関連の情報が掲載されている場合も多く、採用活動の効率を高められます。掲載プランを選ぶ際は、ターゲット人材の国籍や使用言語なども意識しましょう。
スカウト型求人サービスで即戦力人材に直接アプローチ
スカウト機能付きの求人サービスを使えば、国籍・経験・日本語レベルなどの条件でマッチング精度を高められます。登録者のプロフィールを見ながら、自社のニーズに合った人材に効率的にアプローチ可能です。
まとめ
特定技能外国人を雇用するためには、試験の有無、手続き、求人方法、費用など、従来の採用とは異なる多くの要素を正確に把握する必要があります。採用までの期間も数ヶ月を要するため、計画的な準備と的確なパートナー選定が成功の鍵です。
求人戦略を練るうえでは、人材紹介会社や求人メディア、支援機関など外部リソースの活用も積極的に検討し、適切な方法での外国人材の雇用を目指しましょう。
