特定技能制度では、外国人労働者の安定した雇用環境を維持するために、受け入れ企業に対し「定期届出」「定期報告」「随時届出」が義務付けられています。これらは単なる形式的な作業ではなく、特定技能外国人の支援体制を整え、求人活動の信頼性や継続的な雇用にも直結する重要な手続きです。本記事では、届出の提出時期・必要書類・提出先・方法までを、支援委託の有無に応じて分かりやすく解説します。
特定技能制度における定期届出とは何かを理解する
外国人の支援義務としての定期届出の役割
特定技能外国人を受け入れている企業は、3カ月に一度、在留状況や労働環境などをまとめた「定期届出」を地方出入国在留管理官署に提出しなければなりません。これは単なるルールではなく、外国人の定着率向上や求人活動における信頼性の確保に不可欠な取り組みです。
定期面談と届出の連動性
届出の根拠となるのが「定期面談」です。これは特定技能外国人本人、およびその監督者に対し直接ヒアリングを行い、就労環境や生活状況を確認するものです。2024年以降は原則として対面実施が義務付けられています。
特定技能外国人に関する定期届出の提出スケジュール
定期届出は四半期ごとに提出する必要があります。提出期間は以下の通りです。
| 対象期間 | 提出期限 |
|---|---|
| 第1四半期(1~3月) | 4月1日~4月15日 |
| 第2四半期(4~6月) | 7月1日~7月15日 |
| 第3四半期(7~9月) | 10月1日~10月15日 |
| 第4四半期(10~12月) | 翌年1月1日~1月15日 |
期限を過ぎた場合は、「遅延理由書」の提出が求められます。理由書は任意のフォーマットで構いませんが、提出書類と併せて整えておく必要があります。
定期届出の提出先と方法を押さえる
管轄官署の確認と提出手段の選択
届出の提出先は、受け入れ企業の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局または支局です。提出方法は以下の3つがあります。
- 窓口持参
- 郵送
- 電子届出システム(オンライン)
オンライン提出には事前登録が必要となり、準備に数日かかる場合もあります。求人や雇用スケジュールに影響しないよう、早めの対応が望まれます。
登録支援機関との支援委託状況で異なる必要書類
登録支援機関に支援を委託していない場合
企業が全ての支援を担う場合、以下の書類が必要です。
- 受入れ・活動状況に係る届出書
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬支払状況
- 賃金台帳の写し(外国人・日本人比較)
- 報酬支払証明書(通貨払いの場合)
- 定期面談報告書(外国人用・監督者用)
- 相談記録書(必要時)
- 遅延理由書(遅れた場合)
これらの書類は、特定技能外国人の雇用環境が適切かどうかを判断するために重要です。
登録支援機関に全面委託している場合の書類簡略化
委託先が全支援業務を担っている場合、受け入れ企業の作業は大幅に軽減され、以下の書類が中心となります。
- 支援実施状況に係る届出書
- 支援対象者名簿
- 面談報告書
その他、苦情対応などがあれば「相談記録書」も提出が必要です。
活動日数と賃金台帳の記載内容に注意
活動日数の考え方
活動日数とは、対象期間中に実際に出勤して働いた日数を指します。休日や有給休暇は含まれませんが、業務命令による出張や研修はカウントされます。
賃金台帳の比較提出のポイント
外国人と比較対象の日本人従業員の賃金台帳は、同一職務・同一条件で比較できるよう、申請時に提出した日本人従業員と一致することが求められます。これは適切な雇用条件を維持しているかどうかを判断するための重要な資料です。
随時届出の対象となるケースと対応方法
雇用や住所などの変更が対象に
随時届出は以下のような変動があった際に速やかに提出する必要があります。
- 雇用契約の内容変更
- 住所の変更
- 苦情・相談の発生
- 支援計画の変更 など
これらの事由が発生した日から14日以内の届出が原則です。
定期届出・報告を怠った場合の企業リスク
報告義務を怠ると、企業は特定技能外国人を新たに受け入れたり、継続して雇用することができなくなるリスクがあります。これは、入管庁からの指導や、将来的な求人活動における信頼性にも悪影響を及ぼすため、企業としては決して軽視できません。
電子届出システムの活用で手続きの効率化を図る
電子届出システムを利用することで、書類の郵送や持参の手間が省け、作業負担を大幅に軽減できます。ただし、現時点ではシステム上の操作性に課題もあり、導入状況には差があります。事前に登録を済ませ、実務に支障が出ないよう計画的な利用を心がけましょう。
求人活動や雇用維持のために定期報告の徹底を
特定技能制度は、慢性的な人材不足を解消するための制度であり、制度の信頼性を保つには、受け入れ企業が制度の趣旨を理解し、適切な管理と報告を行うことが不可欠です。定期届出や随時届出は単なる事務作業ではなく、外国人労働者の安心と、企業の求人・雇用の安定化につながる取り組みです。
