特定技能外国人の受け入れ人数と今後の雇用動向【2025年版】

特定技能制度は、深刻な人手不足に直面する産業分野において、外国人を即戦力として雇用できる制度として2019年に開始されました。制度開始当初は緩やかな立ち上がりでしたが、分野の拡大やコロナ禍の終息によって受け入れ人数が急増しています。

2025年現在、対象分野の追加や新制度の創設も進められており、今後ますます特定技能外国人の雇用は活発化する見通しです。本記事では最新の受け入れ状況とその背景、分野・国・地域ごとの動向、そして企業が整えるべき受け入れ体制と今後の課題について詳しく解説します。

特定技能制度の基本概要と2025年現在の動き

特定技能とは人手不足解消を目的とした在留資格の一つ

「特定技能」は、外国人が日本国内で就労するための在留資格のひとつで、2019年に導入されました。この資格は、特定の産業分野において即戦力となる外国人を受け入れるために創設されたもので、現在では製造業や介護、農業、外食業などを含む16分野が対象です。

特定技能には1号と2号の2種類があり、1号は最長5年の在留が可能で、原則的に単身での滞在となります。一方、2号は永続的な在留が可能で家族帯同も認められており、キャリア形成を重視した長期雇用にも対応できる点が特徴です。

最新の制度改正や分野拡大の動きに注目

2024年3月には、特定技能1号に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加され、対象分野は12から16へと拡大しました。これにより、より多様な業界が外国人の求人を検討するようになり、制度の活用が一段と進んでいます。

また、技能実習制度の後継として「育成就労制度」の導入も決定しており、これまでよりもスムーズな在留資格の移行が可能になります。この新制度の導入により、特定技能を前提とした外国人雇用が今後さらに加速する見込みです。

特定技能外国人の受け入れ人数とその推移

2025年現在の在留者数と過去の見通しとの比較

2025年初頭時点で、特定技能の在留資格で日本に滞在している外国人はおよそ23万人に達しています。制度開始当初、政府は5年間で最大34.5万人の受け入れを見込んでいましたが、当初の進捗は予測を下回りました。

その背景には、試験実施体制の整備不足や、煩雑な申請手続き、制度理解の不十分さ、さらには新型コロナウイルスによる入国制限などがありました。しかし、2023年4月に入国制限が完全に解除されたことをきっかけに、受け入れ人数は一気に加速しました。

2024年度以降の新たな受け入れ目標

政府は2024年度からの5年間で、最大82万人の特定技能外国人を受け入れる目標を設定しました。これは従来の目標と比べて約2.4倍にあたります。対象分野の拡大や、2号取得による長期雇用が可能になったことが背景にあり、今後もこの増加傾向は続くと予測されています。

分野別に見る特定技能外国人の雇用状況

飲食料品製造業が最も多くの外国人を受け入れ

2025年現在、特定技能外国人の就労先として最も多いのが「飲食料品製造業」で、約7万人が従事しています。工場が全国に点在し、作業が定型化されていることから、外国人労働者にとって働きやすい環境が整っていることが人気の理由です。

他の主要分野も着実に人数を伸ばす

次いで多いのが、以下の分野です。

  • 製造業(素形材・産業機械・電子関連):約4.4万人
  • 介護分野:約3.6万人
  • 建設分野:約3.1万人
  • 外食業:約2.9万人(急速に増加中)

これらの業種は、いずれも深刻な人手不足に直面しており、求人募集に対して十分な国内労働力が確保できていない状況です。外国人材を雇用することで事業継続を図る企業が増えています。

国別にみる特定技能外国人の出身傾向

ベトナム出身者が依然として最多だが比率は徐々に変化

特定技能外国人の国籍で最も多いのはベトナムで、全体の約50%を占めています。これは、技能実習制度を経て特定技能に移行した人の多くがベトナム出身者であるためです。

しかし、近年ではインドネシアやネパール、ミャンマーといった他の東南アジア諸国からの人数も急増しています。特にインドネシアは、技能試験の実施回数が多く、受け入れ国としての存在感を高めています。

地域別に見る受け入れ状況の違い

愛知県が最も多くの受け入れを記録

都道府県別では、製造業が盛んな愛知県が最も多く、約2万人の特定技能外国人が就労しています。次いで大阪府、埼玉県、千葉県、東京都と続き、特に首都圏周辺での受け入れが増加しています。

都市部近郊では、食品製造業や介護、建設といった産業が集中しており、外国人求人が多いことが受け入れ増加の要因と考えられます。今後は地方都市にも雇用が広がっていくことが予想されます。

特定技能外国人の受け入れにおける企業側の留意点

登録支援機関の選定と社内体制の整備が重要

特定技能外国人を雇用するには、生活支援や相談対応といった多岐にわたる支援体制が必要です。自社で対応が難しい場合は「登録支援機関」に委託することが一般的ですが、その品質にはばらつきがあります。

登録支援機関の選定時には、支援実績や対応能力、言語サポート体制などを慎重に確認することが重要です。また、社内でも外国人雇用に対応するための人材育成やマニュアル整備が求められます。

初期の受け入れ体制構築が最大のハードル

特定技能制度では、申請書類や制度理解など初期対応に大きな負担がかかることも多く、これが企業にとって参入障壁となっています。ただし、一度社内体制を整えれば、今後の受け入れは円滑に行えるようになり、長期的な人材確保にもつながります。

特定技能制度の今後と企業の対応

制度の拡張に伴う人材戦略の見直しが必要

今後は「育成就労制度」の施行や特定技能2号の対象分野の拡大により、特定技能を通じた長期雇用の選択肢が広がっていきます。これにより、企業は一時的な労働力確保にとどまらず、戦略的な人材育成と雇用安定を目指す必要があります。

加えて、外国人労働者が日本を選び続けてもらえるよう、労働環境や生活支援の質を向上させることが今後の課題となるでしょう。

まとめ

制度運用の未整備具合などもあり、特定技能の人数増加はスロースタートでしたが、2021年以降にようやく本格的な人数増加が見込めてきました。ここ数年で特定産業分野の見直しが行われ、特定技能2号対象分野の増加、1号の分野拡大(4分野)も決定し、特定技能を目指す外国人は増加するはずです。

また、技能実習の代わりに新たに誕生する「育成就労制度」は、特定技能への移行が前提となります。長期間日本で就労しキャリアを築くことができるようになることから、今後ますます特定技能制度は活性化することでしょう。

まだまだ現在進行形で制度の変更が行われているため、人材不足に悩む業界・企業の方は、特定技能に関する最新情報にしっかり注目していただきたいと思います。