在留資格「特定技能」は、深刻な労働力不足に対応するため2019年に創設された制度であり、14の特定産業分野において即戦力となる外国人を受け入れるものです。就労可能な在留資格であり、1号と2号に分かれていますが、介護と宿泊の分野では現在、1号のみが対象となっています。外国人材の採用や求人においてこの資格を活用することで、即戦力人材の確保が現実的になります。
特定技能を取得するために必要な試験制度
技能試験と日本語試験の2つが必要
特定技能の取得には以下の2種類の試験に合格する必要があります。
- 技能試験:各分野で実施される実技や学科の試験で、分野に応じた知識とスキルを評価。
- 日本語試験:国際交流基金日本語基礎テスト、もしくは日本語能力試験N4以上に合格することが要件。
この2つの試験は別々に受験する必要があり、まとめて実施されるものではありません。企業が外国人材を雇用する際には、どの試験に合格しているかを確認することで、現場における即戦力性を判断できます。
宿泊分野における特定技能試験の内容と採用のポイント
宿泊業の人材不足と外国人材の活用
インバウンド需要の回復により、宿泊業では再び人手不足が顕著になっています。ホテルや旅館では、外国人観光客への対応も含め、多言語対応可能なスタッフが求められています。特定技能「宿泊」は、こうした現場に対応できる人材を確保する手段として注目されています。
宿泊分野の技能試験の構成
宿泊業における技能試験は、次の2科目で構成されています。
- 学科試験:フロント業務、接客、企画・広報、安全衛生などに関する知識を問う問題が出題されます。
- 実技試験:宿泊施設の従業員としての対応力を確認するための模擬応答などを含みます。
試験方式と実施方法
- 試験形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式で実施。
- 会場:現在は日本国内のみで実施。
- 受験者の様子:一人1席で行われ、受験中の会話は禁止され、厳格な試験監督下で実施されます。
宿泊分野の試験例
- 「日本に住所のない外国人には、パスポートの提示とコピーが必要」→正解
- 「補助犬の受け入れは拒否できる」→誤り(受け入れは義務)
宿泊業における求人戦略への活用
特定技能「宿泊」に合格した人材は、ホテルや旅館での基本業務を理解しており、接客対応や安全衛生面でも一定の基準を満たしています。そのため、採用後の即戦力としての活躍が期待できます。
介護分野における特定技能試験の内容と実務力
高齢化社会に対応した人材確保の制度
介護分野では、生産年齢人口の減少に伴い人手不足が長年続いています。特定技能「介護」は、介護施設などで即戦力となる外国人材を雇用するために設けられた制度です。
介護分野の技能試験の構成
- 介護技能評価試験
- 学科(40問)+実技(5問)
- 出題範囲:介護の基本、心と身体のしくみ、生活支援技術など
- 介護日本語評価試験
- 問題数:15問(30分)
- 出題範囲:介護用語、介護会話、文書読解など
試験方式と実施方法
- 形式:CBT方式
- 対応言語:母国語対応あり(設問が母国語、回答は日本語)
- 試験地:日本国内およびフィリピン、カンボジア、ネパールなど海外拠点でも実施
介護試験の例題紹介
- 「自己決定を支援する上で把握すべき内容は?」→介護を必要とする人の希望が正解
- 「着替え介助の正しい手順は?」→左腕を先に通すのが正解
介護業界における雇用ニーズと制度活用
試験に合格した外国人材は、介護の基礎知識や業務の手順を理解しているため、即戦力として現場に配属しやすいというメリットがあります。また、一定の日本語力も確認されているため、入居者や同僚との基本的なコミュニケーションにも対応可能です。
まとめ
特定技能制度を活用することで、深刻な人手不足に悩む介護・宿泊分野において、即戦力となる外国人材の雇用が実現可能となります。試験内容は分野によって異なるものの、いずれも実務に即した内容で構成されており、合格者は基本的な業務知識と日本語力を備えています。
求人活動において、特定技能試験合格者を積極的に採用することは、人材の定着や業務の効率化につながる可能性が高く、今後の雇用戦略の柱となるでしょう。
