外国人労働者が在留カードを紛失した場合、再交付の手続きが遅れることで不法滞在と誤認されるリスクや、企業側の雇用責任が問われることがあります。特に特定技能外国人を受け入れている企業では、再交付の流れや適切な対応を理解しておくことが不可欠です。
本記事では、在留カードを紛失した際の具体的な再交付手続き、企業側がとるべき雇用管理のポイント、特定技能人材との信頼関係を築くための実務対応について詳しく解説します。
在留カードの役割と雇用管理上の重要性
外国人の在留資格や就労可能性を証明する公的書類
在留カードは、日本に中長期滞在する外国人にとって、在留資格や在留期間、就労の可否といった法的地位を証明する公的書類です。企業が外国人を雇用する際には、必ず在留カードを確認し、就労可能な資格であることを把握する必要があります。これは、不法就労助長罪などのリスクを回避するためにも欠かせません。
雇用主に求められるチェック体制
特定技能外国人を含む外国人労働者を雇用する企業は、在留カードの有効期限や更新手続きのスケジュールも把握しておくことが求められます。紛失時の対応についても、企業が必要な知識を持っていないと、求人や雇用管理における信頼性を損なうことにつながります。
紛失時の再交付申請は14日以内に行うことが必須
紛失が判明したら速やかに行動を開始
在留カードの紛失が判明した場合、本人はその事実を知った日から14日以内に、出入国在留管理庁へ再交付の申請を行う必要があります。期限を過ぎてしまうと、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処される可能性があります(入管法第75条)。
申請に必要な基本的書類
再交付申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 在留カード再交付申請書
- 最近6か月以内に撮影した顔写真(規定サイズ)
- 紛失届出証明書(警察発行)
- パスポート(提示できない場合は理由書)
再交付申請の流れと各手続きの詳細
警察署での紛失届出と証明書の取得
まず最寄りの交番または警察署に行き、在留カードを紛失した旨を届け出ます。その際に発行される「遺失届出証明書」が、再交付申請の際に必要となります。
入管窓口での申請手続きと注意点
警察での手続きを終えたら、住居地を管轄する出入国在留管理局に出向き、再交付申請を行います。再交付は即日完了する場合もありますが、繁忙期には時間がかかるため、時間に余裕を持って行動しましょう。
再交付が即日で行われない場合の対応
その場で新しい在留カードが交付されない場合は、申請受付票を受け取り、後日カード受け取りのために再訪が必要です。その際、以下の書類が求められることがあります。
- 旅券
- 申請受付票
- 本人確認書類(運転免許証や保険証など)
特定技能外国人を雇用する企業の実務対応
再交付申請は本人以外でも可能
本人が申請できない場合には、以下の者が代理申請を行うことができます。
- 同居する16歳以上の親族
- 法定代理人
- 弁護士または取次行政書士
- 雇用先の申請取次承認を受けた企業担当者
企業が取次者として対応する場合は、あらかじめ出入国在留管理庁からの承認を受ける必要があります。
雇用主による在留カードの不適切な管理に注意
企業が外国人社員の在留カードを預かる行為は原則として禁止されています。たとえ善意であっても、法令違反とみなされる可能性があるため、必ず本人管理を徹底させましょう。
在留カード不携帯による法的リスクと企業への影響
不携帯が発覚すると罰則の対象に
外国人が在留カードを携帯していない状態で、警察官から提示を求められた場合、20万円以下の罰金または1年以下の懲役の対象となることがあります。再交付手続き中であっても、パスポートを代用として携帯しておくことが強く推奨されます。
雇用契約や求人活動への影響
在留カードの不備や手続き遅延が明らかになると、企業の外国人雇用に対する信頼性が損なわれ、今後の求人活動や申請取次承認の継続にも影響を及ぼす可能性があります。
海外で在留カードを紛失した場合の対応方法
現地での警察届出と証明書取得
渡航中に紛失に気づいた場合は、現地の警察署に速やかに届け出て、紛失証明書を取得しておきましょう。帰国後14日以内に、入管で再交付申請を行います。
搭乗拒否リスクへの対策
在留カードがない状態で日本に再入国する場合、航空会社によっては搭乗を拒否されるケースがあります。この場合は、日本国内の家族や企業の担当者に依頼し、「再入国許可期限証明書」を入管から取得・国際郵便で送付してもらう対応が必要です。
まとめ
在留カードの紛失は、特定技能外国人本人だけでなく、雇用する企業にとっても重大な問題となり得ます。企業の求人活動や雇用継続における信頼性確保のためにも、正しい再交付手続きの流れや法的義務を把握しておくことが不可欠です。
万が一の事態に備え、外国人社員に対する定期的な在留管理の研修や、手続き支援体制の整備を行うことが、安定した外国人雇用と信頼関係の構築につながります。企業と外国人労働者が共に安心して働ける環境づくりのため、在留カードの取り扱いには十分な配慮が必要です。
