特定技能で外国人を農業に雇用する方法と在留資格のポイント

日本では少子高齢化の影響により、農業分野での人手不足が深刻化しています。そうした背景の中、外国人労働者を求人・雇用する動きが加速しています。しかし、外国人を農業に従事させるには適切な在留資格を取得していることが必要です。

本記事では、農業分野で活用されている主な在留資格である「特定技能」「技能実習」を中心に、制度の概要、雇用方法、手続き上の注意点などを具体的に解説します。特定技能制度の最新動向にも触れつつ、外国人材の活用を検討している農業関係者に役立つ情報を整理してお届けします。

外国人が農業で働くための在留資格とは何かを知る

農業分野で外国人を雇用する際は、どの在留資格で働けるかを正確に理解することが最初のステップです。日本には多数の在留資格がありますが、農業に従事できる資格は限られています。

就労可能な在留資格の種類と特徴

以下の在留資格が農業分野での雇用に対応しています。

  • 特定技能(1号・2号)
  • 技能実習
  • 永住者
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 留学(資格外活動許可を取得済の場合のみ)

この中でも、特に制度的に農業に特化し、現場で多く活用されているのが「特定技能」「技能実習」です。

特定技能は農業の即戦力人材確保に最適な制度

2019年に新設された「特定技能」は、農業を含む特定の分野において外国人を即戦力として雇用できる制度です。現場で実際に働ける外国人を、比較的簡易な手続きで受け入れることができます。

特定技能1号の条件と対象業務

特定技能1号の対象となるのは、日本語と農業に関する基礎的な知識と技能を有する18歳以上の外国人です。対象業務は以下の2つに分かれています。

  • 耕種農業(野菜・果物・穀物などの栽培)
  • 畜産農業(酪農・養豚・養鶏など)

これらを同時に従事することは不可で、いずれか一方を選ぶ必要があります。

日本語能力と技能測定試験が求められる

特定技能1号の取得には以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 日本語能力試験 N4レベル相当以上
  • 農業技能測定試験

これにより、ある程度の日本語でのコミュニケーションと業務理解が可能な人材を雇用できます。

特定技能の求人・雇用時に必要な支援体制

登録支援機関の活用と義務的支援内容

特定技能で外国人を雇用する企業や農家には、生活支援・業務支援が義務付けられています。支援内容には以下が含まれます。

  • 生活ガイダンスの実施
  • 住居の確保支援
  • 日本語学習機会の提供
  • 労働条件に関する相談対応

支援が難しい場合は、登録支援機関への委託が可能です。外部に委託することで、専門的なサポート体制を構築できます。

派遣雇用も可能な特定技能制度の柔軟性

農業分野では、季節により作業量の波が激しいため、派遣雇用も制度上認められています。これは特定技能の制度上でも特徴的な点であり、柔軟な求人・雇用計画が立てられます。

派遣と直接雇用の使い分けが可能

  • 派遣雇用:繁忙期だけの短期的な人手補充に向く
  • 直接雇用:長期的な人材確保と育成に向く

地域の事情や農場の規模、作物の種類に応じて適切に使い分けることができます。

技能実習制度の概要と農業分野での運用方法

技能実習は、発展途上国の若者に日本の技術を学ばせる目的で始まった制度です。農業分野では現在も広く活用されていますが、制度の問題点や将来的な廃止の議論もあります。

技能実習の在留期間と対象業務

  • 在留期間:最長5年(段階的に更新)
  • 対象業務
    • 耕種農業:施設園芸、野菜、果樹など
    • 畜産農業:養豚、養鶏、酪農など

実習生には、入国時点での高い技能や日本語能力は求められず、現場で育成することが前提です。

特定技能と技能実習の移行はスムーズに可能

技能実習2号を「良好に修了」した実習生は、特定技能1号へ移行することが可能です。これにより、技能を習得した外国人が、さらに長期にわたって日本で働くことができるようになります。

永住者・定住者・留学生などその他の在留資格でも農業に従事可能

留学生アルバイトの雇用時は労働時間に注意

在留資格「留学」での雇用には資格外活動許可が必要です。また、週28時間までという上限が定められています。これを超えると、不法就労となり、企業側も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。

農業における外国人労働者雇用の注意点

賃金設定は日本人と同等にする必要がある

外国人労働者も日本の労働法の適用対象です。以下を必ず守る必要があります。

  • 最低賃金の遵守
  • 同一労働同一賃金の原則
  • 労働時間や休日の管理

文化や宗教的な背景の違いにも配慮し、トラブルの未然防止に努めましょう。

雇用に活用できる補助金・助成金制度もチェック

外国人労働者の雇用には、以下のような助成制度も活用可能です。

  • 雇用調整助成金
  • 外国人雇用対策助成金
  • 各自治体の外国人雇用促進施策

最新の情報は、自治体や厚生労働省のウェブサイトで随時確認するのが有効です。

まとめ

農業分野で外国人を求人・雇用するには、制度理解が不可欠です。特に特定技能は、農業の人手不足解消に直結する有効な手段であり、雇用の柔軟性や支援体制も整っています。

技能実習制度からの移行者や、すでに日本に在留している特定技能人材を積極的に採用することで、時間やコストのロスを減らすことができます。制度を正しく活用し、農業の現場に適した外国人材を受け入れることが、持続可能な農業経営の実現につながるでしょう。