外国人介護士の雇用が進むなか、「意思疎通が難しいのでは」という不安を抱える現場も少なくありません。しかし、特定技能で働く外国人介護士は日本語教育を受け、基本的な言語スキルを有しており、一定の工夫をすれば十分に円滑なコミュニケーションが可能です。本記事では、介護現場で実践できる「伝わる」コミュニケーションのコツを解説します。
外国人介護士の増加と現場のコミュニケーション課題
日本では介護人材の不足を背景に、特定技能制度を活用した外国人介護士の雇用が急速に拡大しています。しかし、言語や文化の違いに起因する不安から、「外国人とのコミュニケーションが難しい」と感じる介護職員は少なくありません。
実際には多くの施設で良好なコミュニケーションが実現
特定技能で就労する外国人介護士は、来日前に日本語の基礎教育を受けており、介護業務に必要な用語やマナーについても一定の知識を持っています。ある調査では、外国人労働者を雇用している企業の7割以上が「コミュニケーションに不満はない」と回答しており、イメージよりも実態はポジティブであることがわかります。
とはいえ、言語の微妙なニュアンスの違いによって業務ミスや誤解が生じることもあるため、現場では「伝え方」に対する工夫が必要不可欠です。
あいまいな日本語を避け、明確に伝えることが基本
Yes/Noの区別を明瞭にすることが重要
日本語はあいまいな表現が多く、外国人にとっては理解が難しい言語のひとつです。特に**「はい」「いいえ」などの返答が文脈に依存しすぎる**場合、誤解を招きやすくなります。
具体例と改善策
- 「いいよ」と返すと、「やらなくていい」と誤解されることも。
- 「結構です」は、「要る」「要らない」の両方の意味にとれる。
改善ポイント
- 単に「はい/いいえ」だけで終わらせず、「はい、お願いします」「いいえ、必要ありません」といった完結した文にすることで、誤解を防ぐことができます。
介護の現場では、あいまいな指示が利用者の安全にも関わるため、言葉の使い方には細心の注意が必要です。
介護用語を日常的な日本語に置き換える工夫
専門用語はわかりやすい表現に変換する
特定技能の外国人介護士は、介護関連の基礎知識や用語にある程度精通していますが、すべての専門用語を完璧に理解しているわけではありません。業務日誌や申し送り書の中に難解な語句が含まれていると、業務の理解や判断に支障が出る可能性があります。
伝わりやすい言葉に変える具体例
- 仙骨部 → おしりのあたり
- 褥瘡 → 床ずれ
- 要確認 → しっかり見てください
このように言い換えることで、言葉の意味を感覚的に理解しやすくなり、混乱を防止できます。
学びの機会として活用する
用語を伝わりやすい日本語に置き換えることは、単なる補助ではなく、語彙力の強化や業務理解の深化につながります。過去に伝わりにくかった用語や表現をリスト化し、マニュアル化することで、新しく雇用する外国人介護士への指導にも活用できます。
非言語コミュニケーションの活用で信頼関係を築く
ジェスチャーや表情が意思疎通を助ける
言葉でのやり取りに不安があるときは、ジェスチャーや表情といった非言語的手段が非常に有効です。例えば、利用者が手でコップを持つしぐさをすれば、「お茶が飲みたい」という意思を汲み取ることができます。
非言語コミュニケーションの例
- 手振りで「持ってきて」「下げて」を伝える
- 指差し確認で物の位置を伝える
- 笑顔やうなずきで安心感を与える
このような手法は、言葉以上に直感的で伝わりやすく、意思疎通の補助として非常に効果的です。
心の距離を縮める第一歩としての笑顔
簡単なあいさつや笑顔は、職場の雰囲気を和らげ、外国人介護士が安心して働ける環境づくりにつながります。たとえば、「いつも笑顔でありがとう」と声をかけるだけで、モチベーション向上や職場定着にも好影響をもたらします。
外国人介護士の求人と雇用における環境整備の重要性
特定技能人材の採用には受け入れ体制の整備が不可欠
今後も増加が見込まれる特定技能外国人介護士の求人・雇用においては、受け入れ施設側の準備と対応が成功のカギを握ります。
- 日本語教育に加え、現場独自の言い回しやルールを丁寧に伝える
- 日常会話に配慮したコミュニケーション研修を導入する
- 外国人介護士の不安や困りごとを共有できる相談窓口を設置する
これらの取り組みによって、外国人介護士が安心して長期的に勤務できる環境を整えることができ、結果として離職率の低下にもつながります。
まとめ
外国人介護士とのコミュニケーションには、特別なスキルよりも「伝わる工夫」が求められます。明確な表現、やさしい言葉への置き換え、非言語の活用という3つのポイントを実践することで、現場のコミュニケーションは大きく改善します。
特定技能の外国人を求人・雇用するうえで、このような対応力を備えた職場環境を整えることは、働きやすさだけでなく、介護サービスの質の向上にもつながります。今後の介護現場において、外国人介護士はなくてはならない存在になるからこそ、「伝える力」を育てる取り組みが重要です。
