近年、日本では深刻な労働力不足を背景に、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも技能実習制度は多くの外国人労働者が活用しており、在留資格としても大きな割合を占めています。本記事では、技能実習生の受け入れ人数の推移、国別割合、主要職種、制度上の課題、そして受け入れ人数枠について、最新統計とともに解説します。
技能実習制度の概要と目的
技能実習制度とは何か
技能実習制度は、本来「国際協力の一環」として、開発途上国等への技能移転を目的に設けられた制度です。技能実習生は最長5年間日本での実習を行い、その後帰国することが前提です。在留資格としては「永住」を前提としていない点が特徴です。
特定技能制度との関係
2019年4月、政府は「特定技能」という新たな在留資格を創設しました。これにより、より広い業種で外国人を受け入れることが可能となり、労働力不足解消を目的とした制度運用が強化されています。
在留外国人数と技能実習生の位置づけ
在留外国人全体に占める技能実習生の割合
2020年末時点で、日本の在留外国人数は約288万人。そのうち、技能実習生は13.1%を占めており、「永住者」に次ぐ2位となっています。この割合からも、技能実習制度が外国人雇用の中核を担っていることが分かります。
外国人労働者の増加傾向
2022年末の外国人労働者数は182万人を超え、過去最高を記録。10年間で約3倍に増加しています。就労系の在留資格で最も多いのが「技能実習」であり、単体の資格としては最大のボリュームです。
技能実習生の主要受け入れ業種と国別割合
主要受け入れ業種
技能実習制度では農業、建設、食品製造、機械・金属など、7業種82職種に限定されています。中でも受け入れ数が多いのは以下の通りです。
- 建設業(約21%)
- 食品製造業(約19%)
- 「その他」分類(24%)※介護・溶接・塗装などを含む
この「その他」の比率の高さは、最新の人手不足業種が反映されているといえます。
国別割合
2020年時点での国籍別技能実習生数は以下の通りです。
- 1位:ベトナム
- 2位:中国
- 3位:フィリピン
中国はかつて最大の送り出し国でしたが、経済成長により減少傾向。現在はベトナムが最大の送り出し国となっています。
技能実習制度の課題と失踪者の増加
不法残留者の現状
2021年1月時点での不法残留者数は82,892人。そのうち「技能実習生」は13,079人で、資格別では2番目に多く、全体の約16%を占めています。2015年以降、失踪者数は1.5倍に増加しており、大きな課題となっています。
失踪の主な原因
失踪理由の大半は賃金に関する問題です。以下のような違反が多く報告されています。
- 残業時間の不適正
- 割増賃金の未払い
- 過大な賃金控除
- 最低賃金違反
技能実習生は家族の生活を支えるために日本で働いているケースが多く、賃金への不満は失踪に直結します。
制度運用上の課題
技能実習制度は手続きが非常に煩雑で、書類の不備も失踪につながる要因です。実習日誌や講習記録などの書類管理が企業にとって大きな負担となっています。
技能実習の受け入れ人数枠と制度上の上限
受け入れ人数の基本ルール
技能実習法では、企業の常勤職員数に応じて受け入れ可能な人数が決められています。例として、職員数が30人以下の場合は、技能実習生は3人まで。2号に移行した場合は上限が2倍になります。
一般監理団体と特定監理団体の違い
一般監理団体に認定されると、以下のような優遇措置が受けられます。
- 初年度から受け入れ人数が2倍に
- 実習期間の延長(最大5年)
- 3号への移行が可能
これにより、優良な監理団体がより多くの人材を安定して雇用できるようになっています。
技能実習制度の今後と特定技能との関係
技能実習制度は国際協力を目的とした制度でありながら、実態としては労働力確保のための制度として機能しています。政府はこのギャップを埋めるべく、「特定技能」制度を新設しましたが、制度の煩雑さや運用の難しさから、現場では混乱も生じています。
今後、制度の統合や一元化が進む可能性もあり、外国人雇用を検討する企業は、制度動向を注視しつつ、適切な運用を行うことが求められます。
まとめ
技能実習制度は、日本の労働市場を支える重要な制度となっています。制度の目的と現実には乖離があるものの、外国人雇用に対する企業側の姿勢や制度運用の見直しによって、より持続可能な外国人材の受け入れが可能となるでしょう。特定技能制度との連携を意識しつつ、今後の制度改革にも柔軟に対応していくことが求められます。
