特定技能「工業製品製造業」は、即戦力となる外国人材を製造業界に受け入れる制度です。求人や雇用の際には、協議会への登録、資格取得要件の確認、雇用契約の締結、在留資格の申請といった複数のステップを正しく踏む必要があります。
本記事では、制度の背景から、受け入れ準備、実際の採用フロー、注意点に至るまで、企業が押さえておくべき情報を網羅的に解説します。
特定技能「工業製品製造業」とは何か
2019年に施行された改正入管法により創設された「特定技能」制度は、深刻な人材不足に直面する産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。なかでも「工業製品製造業」は、2024年に複数分野を統合して新たに定義され、製造業の中でも最大規模の受け入れが見込まれる分野となっています。
統合された製造業の対象業種
特定技能「工業製品製造業」では、以下のような業種が対象となります。
- 素形材製造(鋳造・鍛造・金属熱処理など)
- 産業用機械・電気機器の製造
- 紙製品・段ボール箱製造、印刷業
- コンクリート製品や陶磁器製品の製造
- 繊維業や金属塗装、包装業 など
これにより、求人対象の職種や業務範囲は大きく広がっており、多様な製造現場での外国人雇用が可能となっています。
製造業における人手不足と外国人雇用の必要性
長期的な労働力不足が続く日本の製造業
日本の製造業は、国内労働人口の減少と若手人材の流出によって、慢性的な人材不足に直面しています。2022年時点で就業者数はやや増加傾向にあるものの、20年前と比較すると150万人以上減少しており、今後の持続可能な生産体制維持のためには、外国人材の安定的な確保が欠かせません。
外国人材の雇用がもたらす即戦力性
特定技能による外国人材は、すでに技能実習などで一定の業務経験を持っているため、採用後すぐに現場で戦力として活躍することが期待されます。求人活動の際に、「日本語力」や「専門スキル」を持つ人材をターゲットにできる点も、企業にとって大きなメリットです。
特定技能外国人を雇用するための具体的なステップ
特定技能外国人を受け入れるには、いくつかの法的手続きや準備が必要です。以下に、実際の雇用までの流れを詳しく紹介します。
STEP1 製造業特定技能外国人材受入れ協議会への加入
最初に行うべきは、自社が協議会に加入し、制度の枠組みに則った外国人雇用を行う準備を整えることです。対象業種かどうかを確認し、必要書類を準備して経済産業省の専用サイトから申請します。申請から認可まではおおよそ2か月を見込んでおくとよいでしょう。
STEP2 外国人求職者の探索とマッチング
受け入れ候補者の探索は、国内外の送り出し機関や人材紹介会社を通じて行われます。求人を出す際には、業務内容や待遇、必要スキルを明確に提示することで、適切な人材とマッチングしやすくなります。
STEP3 支援計画の策定と雇用契約の締結
外国人を雇用する際は、労働契約に加えて「支援計画」の策定が義務付けられています。これは生活面・就労面の支援を網羅するもので、日本語教育や相談対応、生活ガイダンスの実施などを含みます。
STEP4 在留資格の取得手続き
雇用する外国人の在留資格を取得するためには、以下のいずれかの申請が必要になります。
- 海外から呼び寄せる場合:在留資格認定証明書交付申請
- 国内に在留している場合:在留資格変更許可申請
この申請には、雇用契約書や支援計画書、企業情報などの提出が求められます。
STEP5 ビザ申請と入国
在留資格の許可後は、海外在住者であれば日本大使館などでビザを申請し、許可が下り次第入国が可能となります。
特定技能の資格取得条件と試験内容
特定技能「工業製品製造業」に従事するためには、以下の条件を満たす必要があります。
製造分野特定技能1号評価試験
実務に必要な知識とスキルを測る試験です。試験の内容は公開されており、公式サイトで最新の試験日程や受験地の確認が可能です。
日本語能力試験(N4以上)
日常会話が可能なレベルの日本語力が求められます。JLPT N4または日本語基礎テストのいずれかに合格する必要があります。ただし、技能実習2号を良好に修了している場合は、語学要件が免除されます。
採用時に気をつけたい求人と雇用の注意点
求人情報の明確化と多言語対応
求人票や雇用契約書には、賃金・労働条件・勤務地・業務内容などを明示し、必要に応じて外国語での説明を行う体制を整えましょう。トラブルを未然に防ぐため、文書の正確さと透明性が非常に重要です。
国ごとの採用制度に対応する
国によっては、現地政府による許可や送り出し機関との連携が必要です。例えば、フィリピンではPOLO(駐日労働事務所)の許可が必要となり、その後POEA(海外雇用庁)の認定機関を通じて人材が送り出されます。国ごとの制度を理解し、手続きを円滑に進めましょう。
受け入れ後のサポート体制の整備
採用後も、外国人労働者が安心して働けるよう、職場での日本語支援やメンタルケアの体制づくりが求められます。また、定期的な面談や相談窓口の設置によって、労働環境の安定を図ることができます。
まとめ
特定技能「工業製品製造業」による外国人材の雇用は、製造業界の人材不足解消に向けた有効な手段です。ただし、制度の理解不足や手続きの遅れは、雇用の失敗やトラブルの原因となるため、計画的な準備と専門的な支援体制の整備が不可欠です。
求人から採用後の支援に至るまで、正しいプロセスと誠実な対応によって、外国人材と企業双方にとって有益な雇用関係を築くことが可能となります。
