特定技能1号の在留外国人数と業種別雇用の現状【2021年3月時点】

政府が想定した受け入れ目標に対して、特定技能1号の在留外国人数は依然として伸び悩んでいます。2021年3月末時点の在留者数は約22,500人にとどまり、初年度目標の約半数にとどまりました。

分野別では飲食料品製造業や農業、建設分野での求人が多く、外国人材の雇用ニーズが特に高いことが明らかになっています。以下では、国別・業種別・地域別の受け入れ状況と、今後の課題について詳しく解説します。

特定技能1号制度の概要と受け入れ目標との乖離

政府の受け入れ構想と現実の差異が拡大

特定技能制度は、特定14業種における人手不足に対応するために導入された新たな在留資格制度です。政府はこの制度によって、5年間で最大34万5150人の外国人労働者を受け入れる方針を掲げました。

しかし、2021年3月末の時点での在留者数は22,567人にとどまり、初年度目標の約4万7000人と比較しても約48%にとどまっています。この差は、コロナ禍の影響による入国制限や、申請手続きの煩雑さ、企業側の受け入れ体制の未整備など、複数の要因が重なった結果と考えられます。

特定技能1号の国別受け入れ状況と背景

ベトナム人材が圧倒的多数を占める構造

特定技能1号で在留する外国人の出身国を見ると、ベトナムが14,147人と全体の約62%を占めており、他国と大きな差をつけています。続いて、中国(2,050人)、インドネシア(1,921人)、フィリピン(1,731人)などが続きます。

なぜベトナムからの人材が多いのか

この偏りの背景には、技能実習制度からの移行のしやすさ、送り出し機関の整備状況、政府間協定の有無などが関係しています。また、ベトナムは日本語学習の意欲も高く、特定技能に必要な日本語試験や技能試験への対応がしやすいことも一因とされています。

業種別に見る特定技能の求人・雇用動向

飲食料品製造業が最も多く、農業・建設が続く

業種別では、飲食料品製造業が8,104人と最も多く、全体の約36%を占めています。これは、食品加工業界が常に人手不足に悩まされているうえ、特定技能制度の対象業種として制度利用が進みやすい環境にあるためです。

続いて、農業(3,359人)、建設(2,116人)、産業機械製造業(1,937人)などが多くなっています。これらの分野は、季節的または定常的に人材不足が発生しやすく、外国人材の雇用によって現場の求人ニーズに応えようとする動きが見られます。

低調な業種とその課題

一方で、航空(16人)、宿泊(83人)などは受け入れ数が伸び悩んでいます。これには、パンデミックによる業界全体の求人減少や、必要とされる専門性の高さ、受け入れ企業側の準備不足といった要因が重なっていると考えられます。

成長が期待される分野の具体的な動向

介護・素形材・電気電子分野などで雇用が拡大中

介護分野では、2020年9月の343人から2021年3月には1,705人へと急増しています。これは、介護現場の人材不足が深刻化している中で、特定技能による即戦力の外国人材への期待が高まっているためです。

同様に、素形材産業(1,669人)、電気・電子情報関連産業(994人)でも雇用が拡大しており、ものづくり分野全体で技能人材の確保に向けた制度利用が広がりつつあります。

地域別の受け入れ状況と雇用の地域偏在

産業集積地に外国人材が集中

地域別の在留外国人数を見ると、愛知県(2,027人)、千葉県(1,661人)、東京都(1,417人)、埼玉県(1,241人)などが上位を占めています。これらの地域は、製造業や農業の集積地であり、求人需要が安定して高いという特徴があります。

地方部での雇用促進の可能性

一方で、地方部では受け入れ人数が比較的少なく、求人があってもマッチングが進んでいないケースもあります。今後は、地方自治体や中小企業が連携して受け入れ体制を強化することが重要となります。

今後の制度運用と改善すべき課題

受け入れ促進には制度の柔軟化と支援体制の強化が必要

特定技能制度のさらなる活用には、以下のような課題解決が求められます。

  • 申請手続きの簡素化と迅速化
  • 技能試験・日本語試験の実施体制の拡充
  • 送り出し国との制度連携の強化
  • 雇用側への受け入れ支援(教育、住環境整備、相談体制など)

特に中小企業にとっては、外国人材の受け入れはノウハウやコスト面でハードルが高く、行政による支援策の拡充が重要です。

まとめ

2021年3月末時点での特定技能1号による在留外国人数は、制度開始時に政府が掲げた受け入れ目標には届いていないものの、飲食料品製造業や農業、建設などの分野では着実に制度利用が進んでいます。

求人が安定して多い業種では、今後さらに外国人雇用が拡大していくと見られます。制度の定着とともに、受け入れ企業や自治体による柔軟な対応が今後の鍵を握るでしょう。