外国人を産業機械製造業分野で雇用するには、「特定技能1号」の在留資格取得が必要です。試験の合格や日本語力の証明、雇用条件の整備、さらには必要書類の提出と所属機関としての対応が求められます。
本記事では、受け入れ体制の準備から採用までの具体的なステップと注意点を解説します。
特定技能「産業機械製造業」とは何か?
2019年4月の出入国管理法改正により、「特定技能」制度が創設され、外国人が産業機械製造業分野で働けるようになりました。人材不足が深刻な製造業にとって、即戦力の外国人材を採用できるこの制度は、大きな転機となっています。
特定技能の制度により、技能実習修了者を中心に、実務能力のある外国人が最大5年間働くことが可能です。この制度は、従来の技能実習制度とは異なり、より現場での即戦力としての雇用を前提としています。
産業機械製造業界における人手不足の現状
経済産業省の調査によれば、製造業の94%以上の企業が人手不足を実感しており、その多くが業務に支障をきたしています。特に技能人材の確保は難しく、有効求人倍率は平均を大きく上回っています。
例えば、金属プレス工やプラスチック製品製造工の求人倍率はそれぞれ2.97倍、3.70倍と高水準で推移しており、人材確保が業界の喫緊の課題です。今後5年間で約7万5千人の人手不足が見込まれており、外国人材の活用が不可欠となっています。
特定技能1号を取得するための要件と試験内容
技能試験
「製造分野特定技能1号評価試験」に合格することが必要です。試験は13の業種に分かれ、加工・組立・保全など、実務に必要な技術が問われます。試験水準は技能検定3級(技能実習2号修了相当)に設定されています。
日本語能力試験
さらに、日本語能力試験(JLPT N4レベル)または日本語基礎テストへの合格も必要です。N4は「日常会話ができる」レベルであり、職場でのコミュニケーションに最低限必要な語学力です。
なお、技能実習2号を良好に修了した者については、日本語試験の免除措置があります。
雇用時に必要な申請書類と情報
受け入れ企業は、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があり、入会時には以下の情報を登録します。
- 法人番号
- 社名・代表者名
- 所在地・連絡先
- 事業概要またはホームページ
- 担当者情報(氏名・電話・メール)
- 関連資料(任意添付)
この登録により、制度に則った受け入れが可能になります。
対象職種・雇用形態・業務内容・報酬のルール
対象職種
特定技能「産業機械製造業」での対象業種は10業種に限定されており、例としては「機械刃物製造業」「事務用機械器具製造業」などが挙げられます。
雇用形態
雇用形態は必ず直接雇用でなければなりません。 派遣や請負といった形式での雇用は認められていません。
任せられる業務
実際に任せられる業務内容は、各業種ごとに定められており、評価試験でカバーされた技能範囲に基づいて業務を行うことになります。
報酬基準
給与は日本人労働者と同等以上である必要があります。また、月給制で安定した支払いが求められ、技能の習熟に応じた昇給規定も設ける必要があります。
特定所属機関としての義務と注意点
受け入れ企業は、協議会からの報告要請や指導、現地調査への協力が義務付けられています。また、特定技能制度では外国人労働者に転職の自由が認められているため、待遇や職場環境の整備が重要です。
人材確保においては、制度が進むにつれ競争が激化する可能性があるため、早期の準備と対応が成功のカギとなります。
特定技能評価試験の実施概要
試験は公益社団法人国際人材革新機構が実施し、現地語による出題が原則です。学科試験は正答率65%以上、実技試験は60%以上が合格基準となっています。
試験形式は、CBT方式やペーパーテスト、または製作実技方式などがあります。
試験申し込みの流れと注意点
試験申し込みは、各国ごとの手続きに従って行います。一般的には以下の流れです。
- 専用フォームで申し込み
- 受験番号・手数料案内の受領
- 手数料の納付
- 受験票の取得と試験参加
最新情報は、試験実施機関の公式サイトで随時確認が必要です。
外国人材を採用するためのルートと実務対応
外国人材の採用ルートは国により異なり、現地の送り出し機関や認可を受けた斡旋業者を通じて人材を確保する形になります。
採用ルートの選定においては、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会のガイドラインを参考にすることが重要です。
まとめ
特定技能「産業機械製造業」は、深刻な人材不足に対する現実的な解決手段として注目されています。採用には制度理解と準備が不可欠であり、評価試験、日本語力、雇用条件の整備、受入れ体制の構築など、多くの要素を確実に進めることが求められます。
早期に情報収集を行い、スムーズな人材受け入れ体制を構築することで、企業の競争力向上に繋がるでしょう。
