外国人材の受け入れを検討する企業にとって、「求人」から「雇用」、さらには「定着」までの一連のプロセスは負担が大きく、慎重な準備が求められます。特に「特定技能」制度を活用した外国人雇用では、語学や文化の違いによる支援も不可欠です。
こうした背景から、国や自治体では企業向けの助成金・補助金制度を設け、雇用の安定と人材確保を後押ししています。本記事では、2025年時点で利用可能な制度を整理し、活用のポイントまで詳しく解説します。
助成金と補助金の違いと外国人雇用への活用方法
助成金と補助金はいずれも返済不要ですが、その性質や運用の主体が異なるため、利用に際して理解しておくことが重要です。
助成金は雇用維持を目的とした制度が中心
厚生労働省が所管する「助成金」は、主に労働者の雇用の維持や処遇改善を目的とした制度です。条件を満たせば基本的に支給される仕組みとなっており、外国人を新たに採用する企業にも広く門戸が開かれています。
補助金は事業の成長や国際展開を支援
経済産業省が中心となって提供している「補助金」は、技術開発や国際化などの産業振興に重点が置かれています。申請には競争や審査がある場合が多く、制度に応じた計画書や認定申請が必要です。
特定技能外国人の雇用で使える厚生労働省の助成金制度
特定技能の外国人を受け入れる企業が対象となる、厚生労働省の代表的な助成金制度を紹介します。
トライアル雇用助成金で採用のミスマッチを防止
対象:職歴の浅い外国人を含む求職者
内容:3か月間の試用的な雇用期間を設けたうえで、本採用を検討できる制度
支給額:1人あたり最大月額5万円(3カ月間)
特徴:求人票では見えない能力を実務で判断でき、採用リスクを下げることが可能
人材確保等支援助成金で職場環境の整備を支援
対象:外国人労働者を受け入れ、職場に新たな就労環境整備を行う事業者
支給条件:離職率10%以下の実績、全外国人労働者への適用など
支給額:上限57万円(生産性要件達成時は72万円)
どのような職場環境整備が対象になるのか
- 外国語でのマニュアル作成
- 通訳人材の配置
- 日本語学習支援制度の導入
- 文化的な相違に配慮した勤務形態の見直し
このような整備は、外国人材の定着率を向上させるだけでなく、社内全体のダイバーシティ推進にも貢献します。
キャリアアップ助成金で外国人の正社員登用を後押し
目的:非正規雇用から正社員への転換を促進
対象:雇用保険適用事業者で、キャリアアップ計画を作成し実施している事業者
主なコース
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 処遇改善制度導入コース
支給額:条件とコースにより変動(例:正社員化1人あたり57万円)
キャリアアップ助成金の「生産性要件」とは
企業の「付加価値」をもとに算出される指標で、以下の条件を満たすと助成額が増額されます。
- 過去3年間と比較して6%以上の生産性向上
- または1%以上の向上と金融機関の事業性評価を得ていること
雇用維持と賃金引上げを目的としたその他の助成制度
業務改善助成金で最低賃金の引き上げを支援
対象:地域別最低賃金との差が30円以内の中小企業
支援内容:設備投資や人材育成にかかる費用の最大90%を助成
申請のポイント:実際に賃金を引き上げたうえで、計画に基づいた投資を行うことが条件
人材開発支援助成金で外国人への専門訓練を実施
対象:外国人を含む従業員への職業訓練を実施する企業
条件:事前に訓練計画の提出が必要
支給額:最大50万円(中小企業で200時間以上の訓練実施時)
経済産業省が実施する外国人向け支援制度の特徴
外国人の「特定技能」や専門性を活かすには、経済産業省の補助金制度の活用も効果的です。
製造業外国人従業員受入事業による技術移転の促進
目的:日本の製造技術を海外拠点へ移転することで国際競争力を高める
特徴:外国人従業員は「特定活動」の在留資格で来日し、一定期間就労後に帰国
申請条件:製造特定活動計画を作成し、経済産業大臣の認定を受けること
制度を利用する際に確認すべきポイント
- 対象業種であるか
- 申請に必要な体制を社内で確保できるか
- 帰国後の継続的な技術活用を見込んでいるか
国際化促進インターンシップ事業でグローバル人材と接点を持つ
目的:外国人学生の受け入れによる国際化と人材育成
対象企業:中堅・中小企業
支援内容:受け入れ1件につき一律63,000円の支援費
形式:来日型、オンライン型、現地参加型の3タイプ
外国人雇用を進めるうえで制度活用の準備が重要
各種助成金・支援制度は、求人や雇用にかかるコストを抑えるだけでなく、職場環境の改善や人材の定着にもつながります。ただし、制度ごとに要件や提出書類が異なるため、事前の情報収集と専門家への相談が不可欠です。
特定技能の外国人を受け入れる企業では、制度を単なる「補助」としてだけでなく、中長期的な人材戦略の一部として組み込むことが、安定的な雇用と企業の成長につながるでしょう。支援制度を正しく理解し、自社に合ったものを見極めて計画的に活用することが成功の鍵となります。
