特定技能「航空業」制度の概要と求人・雇用のポイント

特定技能「航空業」は、深刻な人手不足を背景に創設された制度で、外国人材の直接雇用を可能にするものです。空港グランドハンドリングや航空機整備といった業務において即戦力となる人材を確保する手段として注目されています。

本記事では、制度の概要、受け入れ可能な人材要件、雇用形態や報酬、必要な試験や申請手続きなど、航空分野での外国人雇用を検討する企業にとって重要な情報を整理して解説します。

特定技能「航空業」とは何か

特定技能制度の概要

特定技能制度は、2019年に改正された出入国管理法に基づいて導入された在留資格で、深刻な人手不足が見込まれる特定14分野に限定して外国人材の就労を認める仕組みです。航空業もその対象の一つであり、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」が対応業務として指定されています。

航空業における受け入れ枠

航空業では、特定技能1号によって外国人を最大5年間受け入れることができます。令和6年からの5年間では、合計4,400人の受け入れが予定されています。

航空業界における求人・雇用の現状

深刻化する人材不足

航空業界は、コロナ禍以前から人手不足に悩まされてきました。不規則な勤務体系や厳しい作業環境が離職率を高め、有効求人倍率は依然として高い数値を記録しています。

求人倍率の実態

航空分野の有効求人倍率は、陸上荷役・運搬作業員で約4.97倍、機械器具整備・修理工でも2倍程度となっており、安定した雇用確保が困難な状況です。

特定技能「航空業」で受け入れ可能な人材

在留資格の種類と条件

航空業で受け入れが可能なのは「特定技能1号」のみです。この資格は、18歳以上で、一定の技能と日本語能力を有する者に限られます。具体的には以下の条件を満たす必要があります。

  • 技能実習2号を良好に修了している
  • または、技能評価試験と日本語試験(N4以上)に合格している

在留資格の取得方法

以下の4つのルートで特定技能の資格取得が可能です。

  1. 留学生の国内試験受験
  2. 技能実習2号からの在留資格変更
  3. 海外試験による取得支援
  4. 短期来日による国内試験受験

特定技能「航空業」の業務範囲

空港グランドハンドリング

  • 航空機の地上支援(誘導・牽引)
  • 手荷物や貨物の搭降載業務
  • 清掃・整備補助などの関連業務

航空機整備

  • 運航整備(到着後の整備)
  • 機体整備(定期的な大規模整備)
  • 原動機・装備品の整備

一部、関連業務として事務や除雪などに従事することも可能ですが、主たる業務が逸脱しないよう注意が必要です。

特定技能所属機関(受け入れ企業)の要件

基本的な条件

企業が外国人を雇用するには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 労働・社会保険・租税関連法令の遵守
  • 非自発的離職者を直近1年で出していないこと
  • 行方不明者の発生実績がないこと
  • 違法な契約や金銭的負担の強要がないこと

航空業特有の追加要件

  • 空港管理者や国土交通大臣による認可を受けていること
  • 「航空分野特定技能協議会」への加盟
  • 外国人支援計画を委託する場合は適格な登録支援機関を選定
  • 雇用契約終了後の実務証明書の交付対応

雇用形態と報酬に関する規定

雇用形態の制限

航空業分野における雇用は直接雇用のみとされ、派遣契約は禁止されています。

報酬の基準

報酬は、日本人と同等以上であることが法律で義務付けられており、不当に低い賃金設定はできません。

特定技能人材の転職ルール

同一の業務区分内であれば転職は可能ですが、異なる分野への転職やアルバイトは禁止されています。複数の特定技能資格を持つ場合でも、業種ごとに在留資格変更が必要となります。

試験制度と学習支援

必須試験の内容

  1. 技能評価試験
    • 空港グランドハンドリング分野
    • 航空機整備分野
      (公益社団法人日本航空技術協会が実施)
  2. 日本語能力試験
    • JLPT N4以上

学習用教材と試験申込

試験対策用の学習テキストやサンプル問題は、日本航空技術協会のウェブサイトから入手可能です。試験の申し込みや開催地・日程についても同協会のサイトで随時確認できます。

まとめ

特定技能「航空業」は、航空分野における人材不足の解消と業務の安定的運用に貢献する制度です。求人倍率の高さや過酷な労働環境から、日本人だけではまかないきれない労働力を、即戦力となる外国人材で補完することが期待されています。

受け入れにあたっては制度の理解と適切な手続きが不可欠であり、受け入れ企業は法令遵守と支援体制の整備が求められます。

特定技能制度を活用した雇用を検討する場合は、事前に必要な準備を整え、長期的な人材戦略として活用することが重要です。