特定技能で働く外国人の転職は可能ですが、複雑な手続きや制限が多く、企業・本人ともに慎重な対応が求められます。本記事では、特定技能外国人の転職が認められる条件、必要な手続き、受入れ企業・本人・旧所属企業の対応、注意点などをわかりやすく解説します。転職希望者の増加に備え、受入れ企業として押さえるべきポイントを整理しましょう。
特定技能外国人の転職は可能だが難易度が高い
在留資格の変更が必要不可欠
特定技能外国人が転職する場合、単なる会社間の移動ではなく「在留資格変更許可申請」が必要です。これは、特定技能の在留資格が、活動内容や勤務先に厳しく紐づいているためです。変更申請中は就労できないため、生活費の確保なども事前に考えておく必要があります。
指定書の内容に縛られる働き方
外国人が働く際に付与される「指定書」には、所属企業名や業務分野が明記されており、それ以外の業務に従事することはできません。このため、新しい企業で働くには、再び出入国在留管理局の審査を経て、指定書と在留カードを新たに発行してもらう必要があります。
転職を認められるための条件
外国人側の要件
特定技能外国人が転職を希望する場合、基本的には以下の要件を満たす必要があります。
- 同一分野での転職:すでに技能試験に合格していれば、再試験は不要
- 異なる分野への転職:転職先分野の技能試験への合格が必要
分野が同じでも業種が違う場合には、対象業務の試験に合格していなければならないケースもあります。試験は分野によって開催頻度や地域が限定されているため、計画的な準備が重要です。
受入れ企業側の要件
新たに受け入れる企業は、以下のような要件を満たす必要があります。
- 特定技能で認められた14分野に該当する事業であること
- 対象業務に外国人が従事できること
- 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
- 社会保険・税金を適切に納付していること
- 母国語での支援体制があるか、登録支援機関との連携があること
業務内容と外国人が持つスキルや試験合格実績が一致しているか、事前の確認が不可欠です。
転職に必要な具体的な手続き
旧受入れ企業の手続き
旧所属先企業にも転職に伴う義務があります。以下の2点を出入国在留管理局へ届け出る必要があります。
- 受入れ困難に係る届出(退職確定時に提出)
- 特定技能雇用契約に係る届出(退職後14日以内に提出)
また、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も義務です。
外国人本人の手続き
転職を希望する本人は、以下の書類を含む「在留資格変更許可申請」を行います。
- 健康診断書
- 課税・納税証明書
- 源泉徴収票
- 技能試験合格証 など
提出書類の不備や遅れは審査の遅延につながるため、慎重な準備が求められます。
新受入れ企業の手続き
新たに雇用する企業が準備すべき主な書類は以下の通りです。
- 雇用条件書
- 支援計画書
- 社会保険料領収証
- 納税証明書
- 登記簿謄本
- 役員の住民票など
これらを基に、出入国在留管理局が「適正な雇用環境であるか」を審査します。特に、支援体制が整っていない場合は登録支援機関との契約が必要です。
転職時の注意点と企業が取るべき対応
在留資格変更中は就労不可
在留資格変更許可が下りるまでは、外国人は新しい企業で働くことはできません。前職を早期に辞めてしまうと無収入の期間が生じるため、退職時期の調整が重要です。
技能実習から特定技能への転職も可能
技能実習を修了した外国人が特定技能へステップアップする際、転職を選ぶケースも多くあります。この場合、技能実習の修了と技能試験の合格が前提となり、元の監理団体との調整も求められます。
特定技能「介護」分野の転職は増加傾向
特定技能「介護」分野は特に人手不足が深刻で、転職希望者も多くなっています。医療・福祉施設だけでなく、福祉関連サービス全般での求人ニーズが高まっており、今後さらに転職が増えることが予想されます。
企業側が意識すべき雇用継続への対策
転職自体は認められていますが、受入れ企業としては人材の定着が重要です。以下のような対応が、早期退職のリスクを下げる効果があります。
- 入社前の業務説明や雇用条件の丁寧な説明
- 入社後の生活・業務サポート体制の整備
- 母国語による相談窓口の設置
こうしたサポートは、外国人材との信頼関係を築く上でも有効です。
まとめ
特定技能外国人の転職は制度上可能ですが、手続きや審査、在留資格変更など、多くの課題が存在します。企業側としては、雇用時点から長期雇用を前提としたサポート体制を整えることで、安定した外国人雇用が実現できます。
求人や採用を検討している企業は、制度を正しく理解したうえで、転職希望者への対応や社内体制を準備することが重要です。
