外国人の就労機会を広げる「特定技能」には1号と2号の2種類があり、それぞれに制度的な違いがあります。本記事では、在留期間や技能レベル、家族帯同の可否など、雇用に直結する7つの項目に注目し、特定技能1号と2号の相違点を詳しく比較します。採用活動や人材育成を行う企業にとって、今後の戦略に欠かせないポイントを網羅的に解説します。
特定技能制度の概要と創設の背景
日本の慢性的な人手不足に対応するため、2019年に導入された「特定技能制度」は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、特定産業分野で就労することを可能にする新しい在留資格です。制度の目的は、即戦力として働ける外国人材の受け入れによって、各業界の深刻な労働力不足を緩和することにあります。
この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2段階があり、それぞれに在留期間や技能水準、待遇面などに明確な違いがあります。
特定技能1号と2号の対象業種の違いと拡大の経緯
1号は12分野、2号は現在11分野が対象に
特定技能1号では12の分野が対象とされており、介護や農業、建設、外食業など、幅広い産業において外国人材の受け入れが進んでいます。
一方、特定技能2号は当初「建設」と「造船・舶用工業」の2分野に限定されていましたが、2023年に大幅な見直しが行われ、11分野へと拡大しました。現在も2号の分野は段階的に試験導入が進められており、将来的にはさらに広がる可能性があります。
介護分野が2号の対象外である理由
特定技能1号に含まれている介護分野は、他の在留資格(例:「介護」資格)への移行が可能であることから、特定技能2号の対象には含まれていません。介護人材の長期雇用については、別の制度設計がなされているという点も押さえておくべきです。
在留期間の違いは人材の定着に直結する
1号は最大5年間の制限あり
特定技能1号は在留期間に制限があり、最長でも通算5年間までしか日本に滞在できません。更新は1年、6カ月、4カ月ごとのサイクルで行われます。
2号は更新に上限がなく長期在留が可能
対して特定技能2号は、更新回数に制限がなく、理論上は永続的に在留することが可能です。長期雇用を前提とした採用計画を立てやすく、企業にとっては定着率の向上につながります。
永住権取得の可能性と制度的な違い
特定技能2号は永住権申請の対象になり得る
永住権を取得するためには原則10年以上の在留が必要とされていますが、特定技能1号の在留期間はこの年数に含まれません。一方で特定技能2号は、永住許可申請の要件を満たす在留資格に該当します。
これにより、将来的に永住を希望する外国人にとっては、2号が魅力的な選択肢となります。企業側にとっても、永住を視野に入れることで人材の流出リスクを抑えやすくなります。
技能水準の違いが採用基準にも影響する
1号は実務がこなせるレベル、2号は指導的な立場も想定
特定技能1号は、現場で一定の実務をこなせるレベルの知識・経験を有することが求められます。分野別の技能試験と日本語能力試験をクリアすることで取得が可能です。
これに対し、特定技能2号では「熟練技能」が求められ、現場の指導や工程管理など、より高度な業務遂行能力が求められます。そのため、2号の取得には実務経験やリーダー的資質も問われることになります。
外国人支援の有無と企業の負担
1号は受入企業に支援義務あり
特定技能1号では、外国人労働者の生活支援や就労支援が企業に義務付けられており、支援計画の策定・実施が必要です。実務上は「登録支援機関」に業務を委託するケースが多くなっています。
2号は支援義務が不要となる
特定技能2号では、この支援義務が課されておらず、企業にとっては負担軽減となります。特に中小企業では、この違いがコスト面・運用面で大きな影響を及ぼします。
家族帯同の可否が人材定着に影響する
1号は単身での在留のみ可能
特定技能1号では、家族の帯同は基本的に認められていません。これにより、一定期間を過ぎると帰国を選ぶ人材も少なくありません。
2号は条件を満たせば配偶者・子の帯同が可能
一方、特定技能2号では、要件を満たせば配偶者や子の帯同が認められます。家族と共に日本で生活できる環境が整うことで、長期にわたり働く意欲の向上が期待されます。
日本語能力要件と試験の違い
1号は日本語試験が必須
特定技能1号の取得には、日本語能力を確認するための試験(通常は日本語能力試験N4相当)が必須とされています。現場での円滑なコミュニケーションのため、語学力は重視されています。
2号には現在、日本語試験要件がない
特定技能2号においては、現時点で日本語試験は必須とはされていません。技能レベルに重点が置かれているため、日本語よりも専門的な実務経験が評価されます。ただし、今後の制度改正で要件が加わる可能性もあります。
試験の実施状況と最新動向の把握が重要
1号は国内外で試験が定期的に行われている
特定技能1号は、すでに制度が確立しており、分野ごとに試験が国内外で実施されています。特定技能評価試験と日本語試験の合格が必要です。
2号は試験の整備が進行中で分野により差がある
2号は制度拡大中であり、試験が未実施または情報が非公開の分野も存在します。また、試験の申し込みが企業経由でなければできない場合もあるため、企業側の体制整備も重要です。採用を検討する場合は、管轄省庁の公式情報を逐次確認することが必要です。
特定技能1号と2号の取得ルートとその注意点
特定技能1号の取得方法
- 技能評価試験と日本語試験に合格する方法
- 技能実習2号からの移行(一定条件を満たせば試験免除もあり)
特定技能2号の取得方法
- 1号からの移行、または他の在留資格から移行
- 各分野の技能試験合格が必要(日本語試験は原則不要)
- 実務経験や指導経験が求められるケースもあり、1号経験者が有利
制度の詳細は変更される可能性があるため、定期的な情報確認が欠かせません。
まとめ
特定技能1号と2号は、在留期間や永住可能性、家族帯同、企業の支援義務といった面で明確な違いがあります。企業が外国人材を採用する際には、どの在留資格を前提に採用計画を立てるかが重要なポイントとなります。
特に、長期雇用や人材育成を視野に入れている企業は、特定技能2号への移行を前提とした採用・教育体制の構築が鍵になります。今後も対象分野の拡大が予想される中で、制度の動向を注視し、柔軟かつ戦略的な人材確保に取り組むことが求められます。
