外国人が日本で起業するときの登記申請で注意すべきポイントは?

会社を登記して法人格を取得する

会社を設立するためには法人登記を行う必要があります

株式会社の登記申請は、書面申請またはオンライン申請のどちらかで行います。書面の場合は、申請書と添付書面を法務局に提出しますが(商業登記法17条1項)、申請書の記載事項は商業登記法第17条等に規定があり、添付書面は、登記の種類ごとに商業登記法、その他の法令に規定があります。添付書類は電磁的記録で(パソコン)も作成できます。設立登記でも添付書類は必要です。

定款の認証終了だけでは会社は成立しません。登記をして会社は法人格を取得します。

定款認証後、登記申請前に行う手続き

定款認証後に、金融機関に資本金となる金銭等の払込みをします。

発起人は、設立時発行株式の引受け後、遅滞なく引き受けた設立時発行株式につき、その出資の金銭全額を払い込み、またはその出資の金銭以外の財産の全部を給付をしなければなりませんので(会社法34条1項本文)、公証役場で発起人の定めた銀行、信託会社など、法務省令で定める場所で払込みをします(会社法34条2項)。

法務局に提出する添付書類として、「払込のあったことを証する書面」に「資本金が払い込まれた口座のコピー」を綴じて割り印します。個人口座のコピーは通帳の表紙、表紙の裏面に当たる名義人、支店名、口座番号の記載のある項及び払込金額が記載された頁のものが必要です。

出資金はどこに払い込みするの?

出資金の払い込みは登記申請の前提となる手続きなので、この段階ではまだ会社は成立せず、会社名義の口座は作れません。そこで、「発起人個人の口座」に払込みをします。複数いる時は発起人代表者の口座に払い込みをします。

登記申請の際に、この振込履歴のある口座の通帳コピーが株式会社設立登記申請の添付書類となります。発起設立の場合は、払込取扱機関の払込金保管証明の義務はありません。

本国から日本の口座に送金するときはタイミングに注意が必要です。

外国人起業家が資本金500万円で株式会社を設立する場合、定款認証前に発起人の外国人の口座に本国から自分のお金を送金してしまうと、入金された500万円が資本金の500万円であるか、法務局で判断することができません。また、入国管理局での在留資格取得審査においても、資本金の原資をどのように調達したのかは重要となります。

海外から送金する場合は定款認証後に行うなど、時系列上で矛盾がないよう申請する必要があります。

法人登記申請

株式会社は、本店の所在地で登記をして、法人格を取得して成立します。

株式会社は、本店の所在地で登記をして法人格を取得して成立します(会社法49条)。発起設立の場合、設立事項に関する調査終了日または発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に本店所在地で設立登記を申請します。株式会社設立の柱はこのようなものです。

  • 定款
  • 社員たる株主の確定
  • 資本の充実
  • 機関の具備
  • 設立事項の調査

定款

添付書類として会社の規則を証する「定款」を添付します(商業登記法47条2項1号)。

社員たる株主の確定

「発起人の全員の同意があったことを証する書面」を添付(商業登記法47条3項)します。これにより、社員である株主が確定します。原始定款に記載があれば不要となります。

資本の充実

資本の充実を証する「会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面」の添付が必要です(商業登記法47条2項5号)。

機関の具備

設立時取締役、設立時監査役、設立時会計参与の選任を証明する「ある発起人の一致があったことを証する書面」を添付します(商業登記法47条3項)。設立時役員は委任契約のため、選任されたものの「就任を承諾したことを証する書面」を添付します(商業登記法47条2項10号・11号)。設立時会計参与を選任した場合、法人であればその登記事項証明書を、法人でなければ公認会計士等の資格者であることを証する書面が必要です(商業登記法47条2項11号)。

設立事項の調査

設立時代表取締役を定款で定めなかった場合「設立時取締役が設立時代表取締役を選定したことを証する書面」を添付、選定されたものの「就任を承諾したことを証する書面」及びその印鑑「市区町村長の作成した印鑑証明書」を添付します。定款に、現物出資などの変態設立事項があれば「検査役又は設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類」を添付します(商業登記法47条2項3号)。

会社を設立するための費用は、認証手数料(5万円)・謄本手数料(定款の枚数により変動するが、5枚で1,250円程度)・印紙代(4万円)・登録免許税(出資金額の1000分の7に該当する額だが、15万円に満たない場合は15万円となる)のほか、代表者印の作成費用や印鑑登録証明書代などが最低限かかります。