外国人研修・技能実習制度は受け入れ機関が制度を理解するべき

研修・技能実習制度に関する入管法の改正について

外国人研修生や技能実習生を受け入れる機関が研修・技能実習制度の目的を理解せず、外国人研修生や技能実習生を「低賃金労働者」として対応してしまい、問題になっていました。この問題により2009年(平成21年)に出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正、2010年(平成22年)に施行されました。新しい研修・技能実習制度では、在留資格「技能実習」が創設され、研修生・技能実習生の法的保護や法的地位の安定化の措置が取られました。

外国人研修・技能実習制度と関係機関

外国人研修・技能実習制度の支援機関には、国際研修協力機構(JITCO)や、海外産業人材育成協会(HIDA)の財団法人があります。支援機関は、開発途上国の人材育成を通じて国際貢献を行います。地域商工業振興のための商工会議所、相互扶助精神の事業協同組合による受け入れなど、営利目的でない団体機関が関係し、外国人研修・技能実習制度で諸外国との友好関係に寄与しています。

公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO/ジツコ)

JITCOは法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の5省共管で、1991年(平成3年)設立の財団法人で、外国人研修・技能実習制度の適正・円滑な推進が目的の財団法人です。次の活動を使命として、2012年(平成24年)4月に公益財団法人になっています。

公益財団法人の活動使命

  1. 研修生・技能実習生の受入れをする民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行います。
  2. 研修生・技能実習生の相談に応え、入管法令・労働法令等の法的権利の確保のため助言・援助を行います。
  3. 制度目的の研修・技能実習の成果が上がり、国際的な人材育成が図られるよう監理団体・実習実施機関、研修生・技能実習生、送出し機関等を支援します。

財団法人海外産業人材育成協会(HIDA/ハイダ)

HIDAは、財団法人海外技術者研修協会(AOTS)と財団法人海外貿易開発協会(JODC)が合併した財団法人で、産業国際化の推進、貿易の振興、投資活動の促進、国際経済協力の事業を行い、日本国と海外の相互の経済発展や友好関係の寄与を目的としています。

財団法人海外産業人材育成協会の事業活動

  1. 国内外の産業及び人材の育成に必要な研修生等の受入れ及び研修
  2. 国内外の産業及び人材の育成に必要な専門家等の派遣
  3. 国内外の産業及び人材の育成に関する調査等
  4. 国内外の人材の育成に必要な施設の管理及び運営
  5. 開発途上地域における産業の育成に資する中小企業の海外投資の円滑化を図るために必要な資金貸付及び関連する調査

商工会議所

商工会議所は、1953年(昭和28年)の「商工会議所法」による非営利の法人組織で、国民経済の健全な発展と、国際経済の進展へ寄与することが目的です。

  1. 地域性 地域を基盤としています。
  2. 総合性 会員はすべての業種・業態の商工業者から構成されます。
  3. 公共性 公益法人として組織や活動において公共性を持っています。
  4. 国際性 世界各国に商工会議所が組織されています。

各地の商工会議所の中央機関として、東京に日本商工会議所があります。全国の商工会議所を総合調整し、意見を代表、国内・国外の経済団体と提携、商工会議所の健全な発達、商工業の振興を目的としています。

事業協同組合

事業協同組合は、中小企業の相互扶助の精神で協同事業を行い、経営の近代化・合理化と経済的地位の向上・改善を図る団体です。組合員の事業を支援・助成するためのものであれば、全ての分野の事業が実施できます。私企業のうちの法人企業には営利法人としての会社があり、協同組合は会社と公益法人の中間の位置にあります。協同組合と会社の代表的な株式会社はともに法人ですが、理念・性格の違いから次のように異なります。協同組合は、中小企業者が相互扶助の精神で4人以上集まり、共同で主に共同経済事業を行い、組合員の事業上の問題の解決と経営の近代化・安定合理化、経済的地位の改善向上を図る組織となります。