技能実習生ってどんなことができる?外国人研修制度の仕組み

研修・技能実習制度とは

外国人研修制度は、18歳以上の外国人を日本に受け入れ、産業技術や技能、知識等を修得、本国で活用してもらい、人材育成を通して国際貢献を行う制度です。

日本は高度経済成長期に多くの企業が海外進出を果たし、世界中に日本企業との合併会社や現地で法人が設立されました。研修・技能実習制度は、現地で雇用された外国人労働者が業務を円滑に行えるようになるために、日本で技術・技能・知識などを得るために設立された制度です。この制度は、特に製造業界からの要望が強かったようです。

設立当初は「企業単独型」のみでしたが、平成2年(1990年)の改正で営利目的としない団体を通じて外国人を受け入れる「団体監理型」が可能になりました。平成5年(1993年)には、より実践的な技術や技能を修得させるための、技能実習制度が発足しました。技能実習制度は、受入機関との雇用関係で実施する制度です。

研修・技能実習制度に関する入管法の改正の背景

新しく在留資格「技能実習」が創設され、技能実習生の法的保護及び法的地位の安定化を図る措置が講じられました。

外国人研修生や技能実習生を受け入れる機関には、低賃金労働者として扱う等の問題が生じたこともあり、国際的な批判もあって入管法が改正され、平成22年(2009年)7月1日から施行されました。

  • 就労できない在留資格(研修・特定活動)で在留している外国人に、独立した在留資格「技能実習」がつくられました
  • 技能実習生は、雇用契約で技能等の修得し、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法上の保護が受けられます

在留資格「技能実習」の区分

企業単独型団体監理型
技能実習1号・技能実習1号(イ)
・企業が単独で受け入れする
・入国1年目
・「講習による知識習得活動」および「雇用契約に基づく技能などの修得活動」の実施
・技能実習1号(ロ)
・監理団体が受け入れ、実習実施期間が実務研修を実行
・入国1年目
・「講習による知識習得活動」および「雇用契約に基づく技能などの修得活動」の実施
技能実習2号・技能実習2号(イ)
・企業が単独で受け入れする
・入国2・3年目
・「雇用契約に基づく修得した技能などを要する業務に従事する活動」の実施
・技能実習2号(ロ)
・監理団体が受け入れ、実習実施期間が実務研修を実行
・入国2・3年目
・「雇用契約に基づく修得した技能などを要する業務に従事する活動」の実施
  • 技能実習1号の「講習による知識修得活動」は、活動期間全体の6分の1以上の期間を座学で実施します。
  • 商品を生産しない場合でも、商品を生産する施設での機械操作や試作品の製造等は講習に含まれず「講習による知識修得活動」とは認められません。

講習(座学)内容の実施要件

座学の講習内容の実施要件も上陸基準で、科目を次のように定めています。

  • 日本語
  • 日本での生活一般に関する知識
  • 入管法、労働基準法等、技能実習生の法的保護に必要な情報
  • 円滑な技能等の修得に資する知識

技能実習期間と対象職種

  • 技能実習期間は1年目が技能実習1号、2年目以降が技能実習2号で、最長3年です。
  • 技能実習1号は職種等の制限はありません。
  • 技能実習2号へ移行する場合は、対象職種が限られます。
  • 技能実習2号は「技能検定基礎2級」等の検定試験に合格する必要があります。

技能実習制度に係る上陸許可基準の概要

企業単独型の上陸許可基準の概要

企業単独型の技能実習は、日本企業等が直接外国人を技能実習生として受け入れます。受け入れる外国人は、日本企業の海外の現地法人・現地企業との合弁会社・海外取引企業等で働いている常勤職員です。受入れが認められる技能実習生と受入企業(実習実施機関)とは、次のように定められています。

実習実施機関

  • 本邦の公私機関の外国にある事業所の職員。
  • 実習実施機関と引き続き1年以上の取引実績又は過去1年間に10億円以上の取引実績を有する機関の外国にある事業所の職員。
  • 実習実施機関と国際的な業務上の提携その他の事業上の関係を有する機関で法務大臣が告示をもって定める機関の外国にある事業所の職員受入可能な技能実習生の人数は、常勤職員数の20分の1の範囲内とされ、つまり常勤職員数20人に対して1名が原則であり、その割合を超えることはできません。

団体監理型の上陸許可基準の概要

団体監理型の技能実習は、商工会・中小企業団体等の営利を目的としない団体が外国人を技能実習生として受け入れます。技能実習生の知識・技能の修得・修得した技能等を習熟させることを目的としています。団体監理型の技能実習は、技能実習生の保護・相談体制の構築・監理団体の監査など、管理体制が強化されています。これは、過去に外国人が低賃金労働者として扱われたことや、不当な利益を得る悪質ブローカーの関与があったことが背景となっています。技能実習生の受入れる監理団体は、営利目的ではなく、次のいずれかに該当することが必要です。

監理団体

  • 商工会議所又は商工会
  • 中小企業団体
  • 職業訓練法人
  • 農業協同組合
  • 漁業協同組合
  • 公益社団法人又は公益財団法人
  • 法務大臣が個別に告示した団体

監理団体では商工会議所・商工会、中小企業団体が多いが、受入可能な技能実習生の人数は、特例人数枠が設けられ、常勤職員数50人以下の中小企業が実習実施機関となった場合でも、3名の技能実習生を受け入れが可能です。

実務研修を伴わない「研修」

在留資格「研修」の非実務研修は、研修生の行う作業が企業等の商品の生産や有償の役務提供の過程を構成するか否かにより決定されます。例えば「生産機器の操作に係る実習」は実務研修として扱われますが、区分された場所や生産する時間と区分された時間でて行う生産機器の操作に係る実習は、非実務研修として扱われます。

実務研修を伴う「研修」

在留資格「研修」の活動は、実務研修を伴わない研修と実務研修を伴う研修とがあるが、実務研修は、公的研修に限定されます。

公的研修とは、基準省令で次のものになります。

  • 国、地方公共団体の機関または独立行政法人が自ら実施する研修
  • 独立行政法人国際協力機構(JICA)等の事業として行われる研修
  • 国際機関の事業として行われる研修
  • 我が国の国地方公共団体等の資金により主として運営される研修
  • 外国の国地方公共団体等の常勤の職員を受け入れる研修
  • 外国の国地方公共団体に指名された者が、日本の援助及び指導を受けて行われる研修で、同人が本国において技能等を広く普及する業務に従事している場合