国際結婚で疑われやすい偽装結婚を否定するための予備知識

配偶者ビザ

国際結婚の手続きを行うためには、日本の婚姻の知識と配偶者の母国の法律の知識が必要です。そして、偽装結婚の否定をするための証明をするために法律の知識が必要です。

婚姻における日本の法律

婚姻とは、「男女が一生一緒に生活する気持ちをもって行う契約」であり、婚姻の届出をすることで成立します。

偽装結婚が認められない理由は、法律や判例が認めていないからです。

法律や判例を知ることで、偽装結婚ではなく真実婚である証拠を提出する知識をつけましょう。

婚姻が成立するためには、以下の要件が必要です。

  • 婚姻しようとする気持ち(婚姻意思の合致)
  • 婚姻できない理由が無いかどうか(婚姻障害事由の不存在)
  • 婚姻届を提出したかどうか(婚姻届の受理)

特に、国際結婚では、夫婦が日本で生活するためには、これらの要件がとても重要です。

婚姻しようとする気持ち(婚姻意思の合致)

当事者間に婚姻の意思(男女が一生一緒に生活する気持ち)がなければ、たとえ婚姻届けが受理されても、婚姻は無効になります。結婚する男女がお互いに結婚する意志をもっていることが必要です。また、詐欺や強迫による婚姻は無効ではなく、婚姻そのものを取り消すことができます。

無効と取消しの違い

「無効」は、始めから効果が発生しないことです。 「取消し」は、いったん有効に成立しますが、取消すことで始めから無かったことにすることです。

婚姻できない理由が無いかどうか(婚姻障害事由の不存在)

婚姻障害事由の場合、婚姻の取消し原因となります。ただし、婚姻障害事由のある婚姻が、必ず無効となるわけではありません。

婚姻適齢(18歳以上)であるか

18歳にならなければ、結婚することができません。

令和4年4月1日に民法が改正され、婚姻適齢が男女ともに18歳以上となりました。また、成人年齢も18歳となりましたので、親の同意なしで結婚できるということです。国際的にも、成人年齢や婚姻適齢を18歳とする国が多くなっています。

重婚していないか

婚姻中の者が重ねて婚姻届を出すことができません。

民法第732条によって禁止されています。日本の民法が一夫一婦制を採用しているからです。配偶者とは、法律上の配偶者で、内縁の配偶者を含みません。

再婚禁止期間

女性は離婚してから100日間、前の夫以外の人と結婚することができません。

これは、連続した婚姻があり、子供を授かった場合、どちらの子供か分からなくなるなってしまうためこのようなルールがあります。

100日を経過せずに結婚できる場合

女性が前婚の解消、もしくは取消しの時に懐胎(妊娠)してない場合、または女性が前婚の解消、もしくは取消しの後に出産した場合には再婚禁止期間の規定を適用しなくなりました。

一定範囲の近親者間での婚姻禁止

直系血族または三親等内の傍系血族の間では、結婚することができません。

一定範囲内の近親者間では婚姻を禁止する規定があります。近親者といっても優生学的理由による禁止と道徳的理由による禁止とがあります。道徳的理由による禁止の代表例は、一度でも養子縁組を結んだ関係の人とは結婚することができません。

婚姻届を提出したかどうか(婚姻届の受理)

婚姻届出を提出しただけでは、結婚したことと認められません。また、婚姻届が誤って受理されても、その婚姻は無効になります。

偽装結婚が認められない理由

実質的意思説と形式的意思説

「実質的意思説=婚姻意思とは、夫婦共同生活に入る意思」とし、「形式的意思説=婚姻意思とは、婚姻の届出をする意思」とします。

婚姻の届出をする意思が婚姻意思(形式的意思説)とすれば、国籍取得の目的を達成するための偽装結婚でも婚姻が成立してしまいます。しかし、婚姻の届出をする意思(形式的意思説)だけでは不十分で、夫婦共同生活に入る意思(実質的意思説)が必要とされています。

この理由から、偽装結婚が認められません。

したがって、夫婦共同生活に入る意思を持っている必要があります。

ただし、婚姻は当事者の自由な意思に基づくものでなければなりません。この理由から、一定の要件を満たすことができれば、婚姻手続きができます。

婚姻手続き後の在留資格取得は、法務大臣の裁量があるため、無事に在留資格取得のためには、婚姻手続きの時点から慎重な申請をする必要があります。

婚姻における条件や期限

婚姻は、終生の夫婦共同生活を目的とするので、条件や期限を付けることができません。もし、条件や期限があったとしても、それは無効になります。

代理提出の考え方

婚姻届の提出は、提出先の役所によっては代理が可能です。それは、使者として本人の婚姻意思を伝達しているにすぎないとみなされます。