国際結婚して日本に上陸し滞在するための出入国管理制度と在留資格

配偶者ビザ

婚姻後に日本で暮らすなら在留資格の取得が必要

国際結婚で日本人と有効な婚姻が成立していても、外国人は在留資格がなければ日本に滞在することはできません。

在留資格が許可されるためには基準があり、「婚姻している事実」だけでは在留資格が与えられず、申請する在留資格に応じた基準をクリアしなければなりません。日本に在留する外国人と結婚し配偶者として日本に滞在する場合も、在留資格が必要です。

在留資格制度にはアメリカ型と大陸型がある

出入国を管理する在留資格制度は、大陸型とアメリカ型に分類できます。

アメリカ型

アメリカ型は出入国時に慎重な審査を行い、入国が許可されると国内での婚姻や就職などは簡単に行えます。

出入国に慎重な審査

婚姻や就職は簡単

大陸型

大陸型はヨーロッパなどで多く見られ、出入国は簡単に行えますが、国内での婚姻や就職などは慎重な審査が行われます。

出入国は簡単

婚姻や就職に慎重な審査

日本はアメリカ型を採用している

日本はアメリカ型の管理方法を採用しています。フィリピンや韓国なども同じアメリカ型をとっています。

アメリカ型の特徴

アメリカ型は、受け入れる外国人の活動や地位、身分を在留資格で事前に定め、在留資格に該当する外国人の入国や滞在を認めて、該当しない外国人の入国や滞在を認めない出入国管理の方式です。

日本におけるこの制度は、一般的に入管法と呼ばれる「出入国管理及び難民認定法」で在留資格が定められています。日本に上陸する外国人は原則、この在留資格に該当しなければ日本に在留することはできません。

在留資格には、日本での活動内容(就労条件などと期限(日本に滞在できる期間)が定められています。在留資格を取得した外国人は、この在留資格が認める期間中、日本に在留することができ、期間中は在留資格が認められた活動をすることができます。

国際結婚に関わる在留資格「日本人の配偶者等」

在留資格「日本人の配偶者等」は、配偶者ビザともよばれ、日本人と結婚した外国人が取得する代表的な在留資格です。日本人の配偶者や特別養子または日本人の子として出生した者などに与えられるものです。

  • 日本人の配偶者
  • 日本人の特別養子
  • 日本人の子として出生した者

日本人の配偶者

  • 法律上の婚姻関係が成立している必要があり、内縁関係の配偶者は含まれません。
  • 法律上の婚姻関係が成立していても、婚姻の実体がない場合は、日本人の配偶者は認められません。
  • 現時点において日本人と婚姻していなければならず、日本人が死亡したり、日本人と離婚したものは含まれません。

婚姻の実態とは、社会通念上の夫婦の共同生活を営むことで、同居し、互いに協力し合って生活することです。

日本人の特別養子

特別養子(民法第817条の2)とは、家庭裁判所の審判で、生みの親との関係を切り離し、養父母との間の実の子と同じ関係を成立させる制度です。その者に対して「日本人の特別養子」が認められています。

  • 一般の養子には認められていません。

日本人の子として出生した者

「子として出生した者」とは実子のことで、嫡出子・認知された非嫡出子が含まれます。

  • その子どもが出生した時、父または母のいずれか一方が日本国籍がある場合でなければなりません。
  • 本人の出生後、父や母が日本の国籍を離脱しても、この在留資格に該当します。

結婚を機に日本で生活するための在留資格「永住者の配偶者等」

在留資格「永住者の配偶者等」とは、永住者の在留資格を持つ者と結婚した外国人のための配偶者ビザで、永住者の配偶者や特別養子または日本で出生した者などに与えられるものです。

在留資格「永住者の配偶者等」を申請するシーン
  • 「永住者」の在留資格で在留する者の配偶者の在留資格として
  • 「特別永住者」の配偶者(平和条約国籍離脱者等入管特例法)の在留資格として
  • 「永住者」の子として日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者出生した者の在留資格として

永住者の子として日本で出生し、引き続き日本に在留する者

「永住者の子として日本で出生した者」とは実子のことで、嫡出子・認知された非嫡出子が含まれます。(「子として出生した者」と同様)

  • その子どもが出生した時、父または母のいずれか一方が永住者の在留資格をもっている場合でなければなりません。
  • 本人の出生後、父や母が永住者の資格を失っても、この在留資格に該当します。

永住者の在留資格で在留する者の子であっても、外国で出生した場合は該当しません。(母が再入国許可を受けて出国し外国で出産した場合等)

特別永住者の子として日本で出生し、引き続き日本に在留する者

通常、平和条約国籍離脱者等入管は特例法第4条の申請を行い、在留資格「特別永住者」となるケースでも、申請期限(60日)に申請できない場合や、申請が認められない者には「永住者などの配偶者」の在留資格が付与されます。

目的が多岐にわたる在留資格「定住者」

「定住者」とは、法務大臣が特別に与える在留資格です。人道上の理由や特別な理由があることが必要です。

国際結婚において最も利用されるのは「定住者」の配偶者を呼び寄せる場合、それに「永住者の配偶者等」などで日本に在留する者の実子を呼び寄せるような場合です。

また、日本人等との離婚後に「定住者」へと変更する事例もあります。典型例としては日本人と婚姻していた外国人女性が離婚後も引き続き日本に滞在し、婚姻中に生まれた日本国籍の実子を養育するような事例です。

その他、「定住者告示」に該当しない場合でも、在留資格に該当する特別な事情がある時には、在留特別許可、上陸特別許可、在留資格変更などでも、「定住者」が付与されることもあります。

「定住者」の付与は、その時の社会情勢などにより柔軟な対応がとられています。

特別な事情を考慮して入国・在留を認められた者

  • 日本人、永住者または特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望する者
  • 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者
  • 日本人の実子を監護・養育する者

日本に滞在できる在留資格を持った者と婚姻した者(配偶者)

  • 「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する者で、日本人の子として出生した者の配偶者
  • 1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留する者の配偶者
  • 日系2世、3世の者で1年以上の在留期間の「定住者」在留資格で在留する者の配偶者

日本に滞在できる在留資格を持った者の扶養を受けて生活する子・養子

  • 日本人の扶養を受けて生活する子・養子
  • 「永住者」の在留資格をもち在留する者の扶養を受けて生活する子・養子
  • 1年以上の在留期間を指定される「定住者」の在留資格をもち在留する者の扶養を受けて生活する子・養子
  • 特別永住者の扶養を受けて生活する子・養子

外国人が母国から配偶者などを呼び寄せる在留資格「家族滞在」

在留資格「家族滞在」とは、日本企業に就職する外国人ビジネスマンや、日本で学ぶ留学生が母国にいる配偶者や子などを呼び寄せる時に多く利用されます。

在留資格「家族滞在」は扶養を受ける者のための資格であって、呼び寄せる側は扶養の意思があり、扶養することが可能な資金があると認められなければなりません。「扶養を受ける」とは、夫婦は原則、同居し経済的に相手に依存し、子どもは監護・養育を受ける状態にあることです。

20歳以上の子どもでも親の扶養を受けていれば「家族滞在」となりますが、配偶者や子どもが一定の収入がある場合は、別の在留資格へ変更されます。

呼び寄せる側が留学生のときは?

在留資格「留学」の「日常的な活動」には教育機関で教育を受ける活動等も含まれますが、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動は含まれていません。

このような非就労資格で在留する者の扶養を受ける場合、本人が在留しようとする期間中の生活費が支援される手段が認められなければなりません。

  • 「配偶者」は、現在、婚姻中の者で、相手方配偶者が死亡した者や離婚した者は含まれません。
  • 内縁の者及び外国で有効に成立した同姓婚による者は含まれません。
  • 「子」には、成年に達した者、養子及び認知された非嫡出子が含まれます。

まとめ

日本における入国管理制度と、配偶者と子に関連する在留資格について紹介しました。
国際結婚をきっかけに日本で暮らしていきたいと考えたときに外国人の家族は在留資格が必要になります。在留資格を申請する状況は人によってさまざまですので、自分がどのケースに当てはまっているのか、どうして日本に滞在したいのか、しっかり整理して申請するとスムーズです。