在留資格「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」は違う?

就労ビザ

在留資格「企業内転勤」

在留資格「企業内転勤」は、日本に本店や支店等の事業所がある公私機関の外国事業所の職員が、日本の事業所に一定期間転勤して在留資格「技術」や「人文知識・国際業務」の在留資格に対応する活動に許可される在留資格です。

  • 転勤直前に外国の事業所で1年以上継続して「技術」や「人文知識・国際業務」などの業務に従事していれば、他の就労ビザにあるような10年以上(または3年)の実務経験は問われず、学歴も不問です。

「技術」や「人文知識・国際業務」の活動と限定されているので、専門的業務に限ります。これは、低賃金労働者が企業内転勤を偽装して入国してくることを防ぐためです。

「日本に本店や支店、その他の事業所のある公私の機関」とは

  • 民間企業、公社、独立行政法人、その他団体(JETRO、経団連等)が含まれます。
  • 外国の政府関係機関や外国の地方公共団体、地方政府関係機関も含まれます
    • 外国の政府関係機関の場合、活動が外交や公用の在留資格に該当するときは、在留資格「外交」や「公用」となります。
  • 「転勤」は同一会社内の異動のことですが、系列企業内の出向等も転勤に含まれます。
  • 系列企業内とは、財務諸表等の用語で、様式及び作成方法に関する規則の親会社、子会社、関連会社です。

日本の事業所は、事業が適正で、安定的・継続的な事業と認めらなければなりません。

在留資格「企業内転勤」の具体例

  • 本店(本社)から支店(支社・営業所)への異動、または支店から本店への異動
  • 親会社と子会社間の異動
    • 株主総会等の意思決定機関のある会社を親会社として、他の会社を子会社とします。
    • 子会社が、他の会社の意思決定機関を管理している場合の孫会社もその親会社の子会社となります。これらの間の異動は「企業内転勤」となります。
  • 子会社間等の異動
    • 親会社と一体性があるとして「企業内転勤」の対象となります。
    • 親会社から見て孫会社間の異動、子会社と孫会社間の異動についても、孫会社が子会社とみなされるので「企業内転勤」となります。
    • 孫会社の子会社(親会社からみて曾孫会社)は、みなし子会社の子会社であるので、縦の位置関係の移動は企業内転勤に該当しますが、曾孫会社間の異動は企業内転勤の対象とはなりません。
    • ただし、親会社100%出資している孫会社・曾孫会社は、子会社となるので、曾孫会社間の異動や孫会社と曾孫会社間の異動も「企業内転勤」の対象です。
  • 関連会社への異動
    • 関連会社とは、会社が出資・人事・資金・技術・取引等で子会社以外の他の会社の財務・営業・事業方針の決定で重要な影響を与える場合の子会社以外の会社で、関連会社への異動は「企業内転勤」の対象です。
    • しかし、関連会社の間の異動や親会社と子会社の関連会社間の異動は「企業内転勤」の対象とはなりません。

「期間を定めて転勤」とは

「期間を定めて転勤して」とは、日本の事業所での勤務が一定期間に限られているということです。期間の限定のない勤務者は含まれません。このため、申請の際に提出する契約書や辞令などに勤務する機関が明確に記載されている必要があります。

同一の法人内で異動、企業内転勤の在留資格で在留の場合、改めて雇用契約は必要ありません。

「技術」や「人文知識・国際業務」の活動と限定されている

企業内転勤の在留資格で従事できる活動は、在留資格「技術」「人文知識・国際業務」の活動に限られます。

  • コックさんなど在留資格「技能」の場合は、企業内転勤は認められません。
  • 企業内転勤者が経営や管理に従事する場合は在留資格「投資・経営」に該当します。

在留資格「企業内転勤」の基準

申請人が次のすべてに該当していること。

  • 申請の転勤の直前に外国の本支店・その他事業所で在留資格「技術」、在留資格「人文知識・国際業務」の業務に従事していた場合で、その期間が継続して1年以上あること。
  • 業務内容が在留資格「人文知識・国際業務」の業務である
    • 外国での業務と転勤後に日本で行う業務が同一または関連する業務の必要はない。
  • 日本人の報酬と同等額以上の報酬を受けること。